真言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/11 13:40 UTC 版)
構成
真言や陀羅尼の多くは、呪句の前に「帰命句」と呪句の終末に「成就句」が加わるが、帰命句と成就句は存否一定しない。
真言の呪句は、仏尊の「種子」から成るもの、仏尊の「名」や「密号」から成るもの、仏尊の本誓を説いてその徳を讃嘆するもの、仏尊の三昧耶形を示す語より成るもの等がある。
陀羅尼の多くは、仏尊や三宝に帰依する宣言文+Tadyathā[注 33]+帰命句+本文+成就句で構成される。Tadyathāは、「即ち」、「曰く」などと訳される。陀羅尼の本文は、仏尊への呼びかけや賛嘆、誓願の動詞、土着の宗教に由来する意味不明な単語等を羅列したもので、長文であることが多い[注 34]。 陀羅尼のTadyathā以後を真言として唱える場合や、陀羅尼の一部を抜き出して真言のように唱える場合もある[注 35]。
帰命句は、大きく分けると以下の二つに分類される。
の形式があり、両者が併用される陀羅尼や真言もある。
「namas」は、サンスクリット語で「お辞儀する、敬礼する、崇拝する」を意味する動詞で、漢訳では「帰命」「敬礼」等と訳される。namasはサンディ(連声)のため、次にくる単語の最初の音によって「namaḥ(ナマハ)」や「namo(ナモー)」に変化する。 漢訳経典では、「namaḥ」は「曩莫」・「納莫」等、「namo」は「曩謨」・「南無」等、namasは「南無悉」等と音写された。日本では宗派によって読み癖が異なるが、前者は「ノウマク」・「ナウマク」等、後者は「ノウボウ」・「ナモー」等と読まれる。
帰命句には、よく使われる定型文がある。
- namaḥ samantabuddhānāṃ ~(ノウマク・サマンダ・ボダナン・~)
- namaḥ samantavajranāṃ ~(ノウマク・サマンダ・バザラダン・~)
- namo ratna-trayāya ~(ノウボウ・アラタンノウ・トラヤーヤ・~)
- namo bhagavate ~(ノウボウ・バギャバテイ~)
など。
「namaḥ samantabuddhānāṃ ~」は、しばしば「oṃ」で代用される。
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