映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館
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概要
藤子プロと今作の漫画版を執筆したむぎわらしんたろうが共同で作った企画が元になっている[3]。
第2期の大長編シリーズでは5作目にあたり、かつ原作漫画を原案としない作品は本作が初となる。また、完全オリジナルでは第1期を含めると『ドラえもん のび太とロボット王国』以来11年ぶりとなる。
作風
監督の寺本幸代は2011年にオープンした川崎市藤子・F・不二雄ミュージアムを訪れた際の仕掛けなどに影響を受け制作に取り掛かったという[4]。今作はたくさんのひみつ道具が登場しており、寺本は「『ドラえもん ひみつ道具大事典』のページを日本で一番めくったのは私ではないかと思っている」と語っている[4]。
寺本にとっての前作『新・のび太と鉄人兵団』がシリアスなドラマだったこともあり、「今回はうってかわって楽しい映画を作りたい」「お客さんが笑って映画館を出られるような、そんな映画にしたい」[5]とも語っており、漫画版で見られるシリアスな雰囲気よりも、映画版では寺本好みのコメディ要素が多く打ち出された作品となっている。主題歌も映画のイメージに合わせたコミカルな曲調となっている。またシャーロック・ホームズネタをいくつか仕込んでおり「にやっとしてもらえたらうれしい」と述べている[5]。
今までの『映画ドラえもん』シリーズでは、主人公であるドラえもんよりものび太が活躍することが多かったが、今作の隠れた主役はドラえもんであり[4]、原作第1話「未来の国からはるばると」[注 1]のワンシーンが登場するなど、ドラえもんとのび太の友情が改めて描かれている。
あらすじ
ドラえもんの鈴が未来世界の「怪盗DX」と名乗る盗賊に突然盗まれる。ドラえもんがこだわるその鈴を取り返すため、のび太はひみつ道具「シャーロック・ホームズ・セット」を身にまとい、あらゆるひみつ道具が展示されている未来の博物館「ひみつ道具博物館」に鈴があることを突き止める。静香、ジャイアン、スネ夫も合流し、5人は盗まれた鈴を探すためにそこへ向かう。
5人は博物館のガイドの少年クルトに導かれて鈴を探しながら博物館を見学する。そこで5人は、全てのひみつ道具は彼の祖父の故ハルトマン博士が発見した金属フルメタルが使われているのだと説明を受ける。しかし結局手がかりは得られないばかりか、ひょんな事故でドラえもんはポケットが使えなくなり、ジャイアンとスネ夫は小さくなったまま戻れなくなってしまう。
結局その日はクルトの家に泊めてもらい、翌日も鈴探しを続けることにする。
明くる日、博物館は臨時休館になっていた。なんと怪盗DXから館内の道具を盗むという内容の予告状が来たのだという。博物館が襲撃されれば、これが2回目になる。5人とクルトは館内に入れてもらい、博物館は最大限の警備でDXを迎え討とうとするが、結局4つの道具を盗まれ、鈴も取り返せないまま逃げられてしまう。
5人とクルトは、これまでに盗まれたドラえもんの鈴を含む6つの道具の間にある共通点をもとに、事件に深く関わっていると推理されたペプラー博士の居場所を探して向かう。その途中、のび太はこれまで出て来た数々の手がかりからDXの正体がクルトであることを突き止める。5人と一緒にいたクルトは身代わりのコピーロボットだった。
クルトは、ハルトマン博士のライバルで、かつて過失で事故を起こして博物館を追放されたペプラー博士の弟子だった。クルトは、師匠のペプラーのために、かつて彼が博物館のひみつ道具とドラえもんの鈴との中に隠した、フルメタルに代わる新たな金属ペプラーメタルを製造する機械を動かすのに必要なマイクロチップを回収するために、デラックススーツを着て怪盗DXに変身し、ひみつ道具と鈴を盗んだのだという。
クルトは博物館の階下にあるペプラーの秘密研究室に飛び込む。5人も遅れて乗り込むが、既に鈴は二つに割られ、チップが取り出され、ペプラーメタルの合成が始まっていた。しかし機械の誤作動で、ドラえもんの鈴を含む博物館内の全てのフルメタルとひみつ道具が消滅し、その影響で太陽製造機と封印されていた博物館のガードロボとが暴走し始める。ホームズ・セットも消滅し、地球が滅亡の危機に陥る中で、のび太は自分自身のひらめきで太陽製造機を抑え込むことに成功し、ドラえもんもデラックススーツを着てガードロボを撃退する。そしてペプラーによってひみつ道具も復活する。
翌日、5人とクルトは館内で鈴を探す。クルトが先に鈴の片割れを見つけ、鈴を盗んだことを謝罪してドラえもんに返す。のび太ももう片方の鈴を発見するが、そこでドラえもんがどうしてもその鈴にこだわる理由に気づく。のび太はドラえもんに駆け寄って、二つの鈴を合わせる。
注釈
- ^ てんとう虫コミックス1巻収録。第2期テレビシリーズでは2006年4月21日に放送。
- ^ a b ガリバートンネルは点検のために作業員が彼らに気づかずに持って行ってしまったためで、博物館のビッグライトは怪盗DXに盗まれていて、ドラえもんのビッグライトはポケットに住みついたスッポンロボのせいでポケット自体が使えなくなったため。
- ^ a b 漫画版での名称は「ターメリック・ペプラー博士」「クルト・ハルトマン博士」。
- ^ 身代わりとしてクルトの姿になっていたコピーロボットに対しては、違和感を感じる仕草をした後、彼ではなくしずかの頭上に飛び乗った。
- ^ ゲーム版ではわずかだがペプラーメタルを完成させた
- ^ 『ドラえもん ぼく、桃太郎のなんなのさ』を含んだ作品数。
- ^ ゴジラシリーズは2016年公開の『シン・ゴジラ』で、邦画の実写としては初の動員1億人突破を達成している[16]。
- ^ 後日放送されたCSテレ朝チャンネル1では無修正版が放送された
- ^ ころばし屋によって転ばされるのが原作ではジャイアンだが本作ではスネ夫になっている。
- ^ 第1話のみタイトルが『ドラえもん のび太のひみつ道具博物館 〜プロローグ〜』
出典
- ^ a b 「『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』公式サイト」映画ドラえもん公式サイト 2023年7月3日閲覧
- ^ “過去のゴールデングロス賞 - 全国興行生活衛生同業組合連合会”. Japan Association of TheaterOwners.. 2020年3月25日閲覧。
- ^ OKStarsインタビューVol.242 アニメ監督寺本幸代参照。むぎわらは前作に引き続き「企画・原案協力」としてエンドロールで名前がクレジットされている。
- ^ a b c 映画パンフレットより。
- ^ a b 寺本幸代監督DXロングインタビューより
- ^ 俳優・向井理さんがドラえもんに出演決定!
- ^ 向井理、声優初挑戦!『ドラえもん』で“向井おさる”に!
- ^ 向井おさる 公式ファンページ「おさるの部屋 〜OsaRoom〜」
- ^ ESP/UTB映像アカデミー 業界用語辞典 「エリ合成」参照。
- ^ “担当声優さんが選ぶ『映画ドラえもん』シリーズのオススメはコレだ! | アニメイトタイムズ”. 担当声優さんが選ぶ『映画ドラえもん』シリーズのオススメはコレだ! | アニメイトタイムズ. 2024年1月27日閲覧。
- ^ やっぱり春は『ドラえもん』!大ヒットスタートで初登場トップ!【映画週末興行成績】シネマトゥデイ 2013年3月12日
- ^ 子供に大人気! 『ドラえもん』新作が映画満足度ランク首位チケットぴあ 2013年3月11日
- ^ 『ドラえもん』がV2!『レ・ミゼラブル』はついに興収55億円突破!【映画週末興行成績】シネマトゥデイ 2013年3月19日
- ^ “2014年記者発表資料(2013年度統計)” (PDF). 日本映画製作者連盟 (2013年1月28日). 2013年1月28日閲覧。
- ^ ドラえもん映画、1億人見た シリーズ34作目で突破朝日新聞 2013年3月26日
- ^ “国産ゴジラシリーズ、累計動員1億人突破!庵野秀明『シン・ゴジラ』で達成”. シネマトゥデイ. (2016年8月3日) 2017年12月10日閲覧。
- ^ [映画ドラえもん]シリーズ累計動員数1億人突破記念 スペシャル動画 - YouTube
- ^ しずかちゃんの裸シーンに修正入った 「ドラえもん」に自主規制の「魔の手が」と衝撃走る J-CASTニュース 2014年3月11日
- ^ “過去のゴールデングロス賞 - 全国興行生活衛生同業組合連合会”. Japan Association of TheaterOwners.. 2020年3月25日閲覧。
- ^ ひみつ道具大作戦!【結果発表】〜キミの考えたひみつ道具を映画に出そう!〜
- ^ ドラえもん100体が箱根でお出迎え "元祖"も出没msn産経ニュース 2013年2月27日
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