恐竜探険隊ボーンフリー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/11 02:40 UTC 版)
概要
後に『恐竜大戦争アイゼンボーグ』『恐竜戦隊コセイドン』とともに「円谷恐竜三部作」と称されることになる3作品の第1作目である。恐竜やメカなどはモデルアニメーションを含むミニチュアによる実写特撮、人間などのキャラクターはセルアニメ、という表現方法にて製作されている[1]。円谷プロではこの手法を「立体アニメ」[2](または「立体アニメーション」[3])と称している。
円谷プロダクションでは同時期に『プロレスの星 アステカイザー』も制作していた関係から、本作品のアニメ部分は日本サンライズに、実写部分は日本現代企画に、それぞれ下請制作を任せていた。特撮パートは、日本現代企画の撮影所である狛江スタジオを使用している[4]。
『巨獣惑星』、『恐竜特捜隊DC-8』、『ザウルス号アドベンチャー』、『ザウルス号の冒険』という4つの企画を経て実現した。いずれもモデルアニメーションを使ったリアルな恐竜の生態表現を志していた。『DC-8』では人間は完全実写での表現を予定していた[4]。『ザウルス号の冒険』では主人公はチームの少年であった[4]。ザウルス号以降の企画では精巧な人形を使っての人物の描写を予定していた[4]。怪奇性を盛り込んだ[4]『ザウルス号の冒険』の企画の一部は『ファイヤーマン』で実現している。このうち『巨獣惑星』は2分40秒のパイロットフィルムが製作されており、本作品の実現に繋がったとされる[5][6]。
旭通信社が企画に加わった時期に本作品に調整され、セルアニメを使用することとなった[4]。
古生物学者の小畠郁生が監修として参加している[7][4]。恐竜の描写は当時最新の学説に極力基づいて描かれており、従来の怪獣ものとは一線を画している[8][4]。そのため、正しい形状に留意して恐竜のイラストが脚本内に掲載されるなどしていたが、尻尾を引きずる恐竜が実際の映像では多かった[4]。
前年に発見されたエゾミカサリュウや一般には馴染みの薄いポラカントスやコリトサウルスなどが登場するのも特徴である[7]。
「アニメーションによる人物表現」は、『サンダーバード』などに見られるスーパーマリオネーションを意識したために採られた方法である。また『アステカイザー』共々、特撮に替わり子供番組の中心となっていったアニメーションへの挑戦であったともされ[9]、さらに特撮を加えることによって新しい映像表現を見出そうとしていた[10]。しかし、モデルアニメーションゆえに高額の製作費が掛かってしまい製作スケジュールが破綻。2クールで終了した。恐竜シリーズの中では最短話数である。
この手法は次作『恐竜大戦争アイゼンボーグ』にも引き継がれた。『アイゼンボーグ』では恐竜たちがモデルアニメーションではなく着ぐるみを用い、『恐竜戦隊コセイドン』は全編実写で制作されるなど相違点もある。
スポンサーはトミー(現:タカラトミー)の1社提供[11]。本作品は、同社が初めて本格的にスポンサードした特撮およびアニメ番組でもある[4]。
2009年1月から6月まで、チャンネルNECOの「円谷特撮アワー」枠にて再放送された。
撮影に使用されたティラノサウルスのアップ用ギニョールは、2021年時点で現存が確認されている[12]。通常、造型に用いられるラテックスは劣化しやすいが、このギニョールは45年後も良好な状態を保っている[12]。
注釈
- ^ ただし当時のポスターやレコードジャケットでは、牧隊員はズボンを履かず、赤いタイツ姿だった。
- ^ 首長竜のシルエットを象ったボーンフリー隊のシンボルが描かれた円盤が左右に張り出し、回転パドルになる
- ^ 書籍『全怪獣怪人 上巻』では、「大ムカシトンボ」と記載している[15]。
- ^ 書籍によっては、名称をフリービーグルと記載している[15][16]。
- ^ 厳密には底面前部に方向転換用の車輪×1、後部両側面に無限軌道を装着した、オート三輪がハーフトラックになったような構造
- ^ ドーム内部にBF号を固定する伸縮式のシリンダーがある。
- ^ 前回登場の卵から孵化。
- ^ 5分早い先行放送。
- ^ 円谷プロは当時ダイナメーションと表現していた[4]。
- ^ 光学撮影による合成作画で表現。
- ^ その際、男もセルアニメで表現される。
出典
- ^ 夢のかけら 円谷篇 2021, p. 126, 「解説」
- ^ SFドラマ大図鑑 2013, pp. 126、129.
- ^ 円谷ヒーロー (1) 1987, p. 72.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u マガジンVOL.2 2021, pp. 52–55, 「恐竜探検隊ボーンフリー/恐竜大戦争アイゼンボーグ」
- ^ 大石真司 2013, p. 137.
- ^ SFドラマ大図鑑 2013, p. 126.
- ^ a b SFドラマ大図鑑 2013, p. 129.
- ^ 大石真司 2013, p. 132.
- ^ 大石真司 2013, p. 397.
- ^ 円谷ヒーロー (1) 1987, p. 73.
- ^ 『ミラーマン大全』双葉社、2004年、252頁。
- ^ a b 夢のかけら 円谷篇 2021, p. 80, 「ティラノサウルス」
- ^ a b c d マガジンVOL.2 2021, pp. 37–38, 「スーパーメカニック大全 地上戦力・隊員装備編」
- ^ 宇宙船Vol43、p.10
- ^ a b c d 『全怪獣怪人』 上巻、勁文社、1990年、319頁。ISBN 4-7669-0962-3。
- ^ a b 『宇宙船SPECIAL ’70年代特撮ヒーロー全集』監修 金田益実、朝日ソノラマ、1998年5月30日、201頁。ISBN 4-257-03533-1。
- ^ a b c d e f g h i j k l 宇宙船180 2023, pp. 124–125, 「夢のかけら」
- ^ 『宇宙船YEAR BOOK 1998』朝日ソノラマ〈宇宙船別冊〉、1998年4月10日、61頁。雑誌コード:01844-04。
- ^ 『北海道新聞』(縮刷版) 1977年(昭和52年)3月、テレビ欄。
- ^ 円谷ヒーロー (1) 1987, pp. 65、68.
- ^ 円谷ヒーロー (1) 1987, p. 66 -67.
- ^ 円谷ヒーロー (1) 1987, p. 66.
- ^ 円谷ヒーロー (1) 1987, pp. 66–67.
- ^ a b 円谷ヒーロー (1) 1987, p. 67.
- ^ 円谷ヒーロー (1) 1987, p. 69.
- ^ 円谷ヒーロー (1) 1987, p. 68.
- ^ 円谷ヒーロー (1) 1987, pp. 68–69.
固有名詞の分類
特撮テレビ番組 |
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