心電図 心電図モニタ

心電図

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 10:12 UTC 版)

心電図モニタ

循環器科の 5点誘導式 患者モニタ
7つの波形(方向)から心臓の異常を監視できる
患者モニタの画面
(表示画面はデモンストレーション モード)

病院に収容中の患者や、救急車ドクターカーで搬送中の傷病者に対してバイタルサイン(1チャネルあるいはそれ以上の心電図、心拍数、血圧、体温、呼吸数、血中酸素飽和度など)を持続的に監視するための医療機器。3個または5個の電極を胸部に貼り付ける。
電極が3個の機種は3点誘導式、5個の機種は5点誘導式であり、循環器科や救急科、手術室[3]、集中治療室(ICU)などでは基本的に、複数の方向から心臓の異常を監視できる5点誘導式の機種を使用する。
一般病棟などで使用する3点誘導式の機種は最低限の(限定的な)情報しか得られない。

一般病棟の 3点誘導式モニター

心電図モニタ、ハートモニタとも呼ばれており、測定項目は心電図・血圧・脈拍・呼吸パターンなどが重要であるが、なんといっても心電図が生体情報モニタリングの中心である。 侵襲性がない(患者の体を傷つけずに検査できる)ため、対象は心疾患に限らず呼吸器疾患、絶対安静の患者、その他急変の可能性が無視できないすべての患者に用いられる。

患者の心電図を長時間にわたり連続モニタするため、液晶画面などの表示装置に、心電図、心拍数などを表示し、必要によっては警報を発することを主な機能とする最も基本的な生体情報モニタである。

全身状態の不安定な患者が入院しているときや手術中などは、脈拍など最低限のバイタルサインを監視するためにも簡易な心電図モニタを利用する。 心筋梗塞高カリウム血症の波形をいち早く捉えることができるケースもあるが、通常は心拍頻度を監視する程度であってモニタの示す波形そのものは診断の参考として用いられる。

容態の安定している患者であれば II誘導(心臓内の大まかな興奮の流れに沿ったベクトル)のみの監視で良いが、冠動脈疾患の場合はすべての肢誘導と前胸壁誘導1個を装着し、責任病変が判明していればそれによって心電図変化が最も出やすい誘導を監視する。

  • 右冠動脈:II、III、aVF
  • 左冠動脈:V1、V2、V3、V4
  • 左回旋枝:I、aVL、V5、V6

心電図モニタは、患者に小型の送信機を装着して、無線テレメトリー方式でモニタ本体まで送信する装置が普及している。歩行可能な患者であれば、移動中の心電図もモニタできることなどのメリットがある。また、心電図のスクリーニング用として24時間の心電図を電子メモリーに記憶できるホルタ心電計がある。通常の心電図モニタでは検知しにくい不整脈の検出などに役立つ。

最近の心電図モニタは、ME技術の急速な進歩により、

  • 機能、性能の向上
  • 安全性、信頼性の向上
  • 小型化、軽量化

などが図られ、その使用場所も一般病棟をはじめ集中治療室(ICU)、内科系集中治療室(CCU)、手術室などに広がってきている。


  1. ^ a b c Kligfield P, Gettes LS, Bailey JJ, Childers R, Deal BJ, Hancock EW, van Herpen G, Kors JA, Macfarlane P, Mirvis DM, Pahlm O, Rautaharju P, Wagner GS; American Heart Association Electrocardiography and Arrhythmias Committee, Council on Clinical Cardiology; American College of Cardiology Foundation; Heart Rhythm Society, Josephson M, Mason JW, Okin P, Surawicz B, Wellens H. ”Recommendations for the standardization and interpretation of the electrocardiogram: part I: The electrocardiogram and its technology: a scientific statement from the American Heart Association Electrocardiography and Arrhythmias Committee, Council on Clinical Cardiology; the American College of Cardiology Foundation; and the Heart Rhythm Society: endorsed by the International Society for Computerized Electrocardiology." Circulation. 2007 Mar 13;115(10):1306-24. Epub 2007 Feb 23. Review. PMID 17322457
  2. ^ Hurst JW. Naming of the waves in the ECG, with a brief account of their genesis. Circulation. 1998; 98(18); 1937-42.
  3. ^ 医療法人社団 松和会 池上総合病院 「オペ看護師の一日に密着」
  4. ^ N Engl J Med 2008;358:2016-23.
  5. ^ Bệnh hẹp van 2 lá là gì, có nguy hiểm không ?” (ベトナム語). Y Khoa Blog (2021年8月5日). 2021年10月7日閲覧。
  6. ^ Am Heart J 1982;103:133-134
  7. ^ Clin Cardiol 2008;31:133-134
  8. ^ Rhinehardt J, et al. Electrocardiographic manifestations of Wellens' syndrome. Am J Emerg Med. 2002;20(7):638-43.
  9. ^ Hrtst JW. Criculation 1998; 98:1937-42.






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