小田急2000形電車 沿革

小田急2000形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 15:10 UTC 版)

沿革

新松田駅で搬入を待つ2051×8(新宿側4両)
当初は準急運用にも投入された。通過標識灯が点灯している

1994年(平成6年)末に1次車となる2051×8・2052×8の2編成が導入され[7]、1995年(平成7年)3月4日のダイヤ改正より営業運転を開始し[16]、新宿発着の各駅停車や準急での運用を開始した[注 3]

1998年(平成10年)には2次車となる2053×8の1編成が導入されたが、この編成からは側腰板と側梁の接続方法をインダイレクト方式に変更し[20]、前面の通過標識灯が廃止された[20]ほか、車内案内表示装置は全てLEDスクロール式に統一した[20]。なお、1999年5月から7月にかけてクハ2053に電気連結器を設置し[8]、ブレーキ読み替え装置の試験を行なった[21]。このとき通常の小田急では見られない12両編成での試運転となり[21]鉄道ファンから注目を集めた[21]。試験終了後に電気連結器は撤去され[21]、ブレーキ読み替え装置は2代目3000形で本格採用となった[21]

2051×8は1997年(平成9年)5月より編成中の2両の側窓ガラスに遮光フィルムを貼り付けして、その効果の試験を実施した[12]。その翌年1998年(平成10年)4月からは全車両の窓ガラスをUVカットガラスに変更した[12]。この試験結果は3次車に反映された。なお、同編成は巻上げカーテンを撤去した[8]

2002年(平成14年)には列車種別の増加に伴い、2051×8と2052×8に設置されていた路線図案内式表示装置は撤去された[8]

1998年の増備車(2053×8)から通過標識灯は廃止された
種別・行先表示器がフルカラーLEDとなった2052×8
帯色が変更された2051×8

2000年(平成12年)の増備車からは、2600形を2000形によって置き換えることになった[8]が、この時最初に増備された2054×4では、2000年(平成12年)度に廃車となった2600形2666×8の編成[注 4]からの機器を流用した[22]。台車や補助電源装置・電動空気圧縮機等は当初から新製されたため、2054×4においては流用品は主電動機と制御装置のみで、限りなく完全新製車に近い。この増備車からは車内の7人掛け座席間に縦握り棒(スタンションポール)を設置し、客室側窓のガラスを遮光ガラスとして[8]、カーテンの設置を省略した[8]。そのほか、優先席部の荷棚高さとつり革の高さを100mm低くしたり(合わせて一般席部のつり革は50mm低下)、車椅子スペースの設置場所を乗務員室側に変更した[8]。機器面では電動空気圧縮機がレシプロ式からスクロール回転式に変更[8]されたほか、クハ2050形(両先頭車)に滑走防止制御装置を新設[8]、また屋根上の冷房装置カバーに車外スピーカーが新設され、車外放送機能を追加した[8]。入線当初は、集電装置は通常の菱枠パンタグラフであった[21]が、全車両シングルアーム式に交換された[21]

2007年(平成19年)度より、滑走防止制御装置[注 5]と新しい保安装置であるD-ATS-P装置の設置工事が開始され[23]、2009年度に全車両の対応が終了した[23]。同時にEB装置の搭載と防護無線の改良が実施された[23]。また、2009年2月から、前面と側面種別・行先表示器をフルカラーLEDに交換された[8]。2010年前半には2054×8の座席端の袖仕切を大形板へ交換する工事を実施した[24]。また、2052×8は2012年前半に袖仕切と握り棒を変更した[25]

さらに2012年(平成24年)2月には、2051×8と2052×8の帯色が、従来の「ロイヤルブルー」[注 6]から2代目4000形と同じ「インペリアルブルー」に変更された。現在は2059×8以外の車両が「インペリアルブルー」となっている。


注釈

  1. ^ 正面窓については1000形リニューアル車も同一形態となった。
  2. ^ クハ2050番台では海側、クハ2450番台では山側。
  3. ^ なお、小田急では1994年10月より甲種車両輸送の授受駅を小田原駅から新松田駅に変更しているが、2000形は初めて新松田駅から搬入された車両である。
  4. ^ 2600形の8両編成化の過程で、余剰となった付随車を活用して、2000形と同型の主電動機と制御装置を使用してVVVFインバータ制御車としていた編成。
  5. ^ 2051×8 - 2053×8は両先頭車(制御車)と付随車、2054×8以降は付随車のみ設置。
  6. ^ マンセル記号「5B 4/6」[26]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k 『鉄道ピクトリアル』通巻679号 p.216
  2. ^ a b c d e f g h 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.313
  3. ^ PHP研究所「小田急電鉄のひみつ」34頁
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 『鉄道ジャーナル』通巻342号 p.88
  5. ^ a b c d 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」2017年4月号研究と開発「2000形PS・MS刃形スイッチ動作不良防止について」22-25P内の25Pに記載。
  6. ^ 『鉄道ダイヤ情報』通巻145号 p.15
  7. ^ a b c 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.258
  8. ^ a b c d e f g h i j k l 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.260
  9. ^ a b c d e f g h i j k 『鉄道ジャーナル』通巻342号 p.86
  10. ^ “Gマークに5車種、2施設”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (1995年10月16日) 
  11. ^ a b c d e f g 大幡 (2002) p.48
  12. ^ a b c d e f 交通新聞社「鉄道ダイヤ情報」2007年6月号21-23頁
  13. ^ a b c d e f g h 『鉄道ピクトリアル』通巻679号 p.217
  14. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.259
  15. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 『鉄道ジャーナル』通巻342号 p.87
  16. ^ a b c d 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」1995年10月臨時増刊号新車年鑑1995年版記事
  17. ^ a b c d 大幡 (2002) p.50
  18. ^ a b c d 大幡 (2002) p.51
  19. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.190
  20. ^ a b c 『鉄道ピクトリアル』通巻679号 p.218
  21. ^ a b c d e f g 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.261
  22. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.199
  23. ^ a b c 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.57
  24. ^ 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2010年7月号103頁Topic Photos「小田急2054編成の袖仕切を変更」
  25. ^ 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2012年7月号105頁「小田急2000形青帯に変化」記事
  26. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.191






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