士別軌道 軌道事業(廃止)

士別軌道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/23 08:39 UTC 版)

軌道事業(廃止)

士別軌道
路線総延長21.4 km
軌間762 mm
宗谷本線
0.0 士別
1.4 兵村
3.3 九十九
6.0 中士別
7.8 学前
9.1 奥野
10.7 鳴門
11.9 上士別
15.8 二十二線
18.7 二十七線
21.4 奥士別
士別森林鉄道

帝室林野局札幌支局士別出張所、後に旭川営林局朝日営林署管轄の士別森林鉄道との連帯輸送(通車運転)による、森林資源の士別駅土場への運輸が主目的で運行された軽便鉄道

軌道の名の通り762ミリのナローゲージによる運行で、旅客運行では内燃動車を導入したことはなく、機関車牽引による客車運行だった。青木栄一が1954年(昭和29年)に訪問した際、時刻表に「バス併用」と注記されているとおり殆ど客車運行はなく、会社から「乗客は事実上扱っていない」と言われている[17]1955年(昭和30年)度をもって完全にバスへ移行された[14]

士別森林鉄道が廃止となったことで貨物を失い営業継続が困難になったことから、1959年(昭和34年)6月9日から撤去が開始され、10月1日付で廃止となった[14][12]

路線データ

  • 路線距離(営業キロ):21.4 km(一部併用軌道
  • 軌間:762 mm
  • 駅数:11駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:なし(全線非電化
  • 動力:馬力→蒸気→蒸気・内燃併用→内燃

駅一覧

1940年当時

士別駅 - 兵村駅 - 九十九駅 - 中士別駅 - 学前駅 - 奥野駅 - 鳴門駅 - 上士別駅 - 二十二線駅 - 二十七線駅 - 奥士別駅

輸送・収支実績

年度 乗客(人) 貨物量(トン) 営業収入(円) 営業費(円) 益金(円) その他益金(円) その他損金(円) 支払利子(円) 道庁補助金(円)
1920 11,776 4,296 20,739 19,826 913 8,790 5,646 9,553
1921 10,141 3,183 13,856 13,235 621
1922 10,429 3,250 11,502 19,983 ▲ 8,481
1923 11,467 1,997 11,472 18,058 ▲ 6,586 21,906
1924 15,943 2,476 35,286 40,946 ▲ 5,660 21,487 19,316 41,034 17,203
1925 20,452 25,528 35,832 47,196 ▲ 11,364 4,557 2,273 14,412
1926 17,690 56,696 66,199 73,250 ▲ 7,051 5,720 13,083
1927 17,219 20,910 63,409 66,843 ▲ 3,434 5,664 12,675 23,779
1928 23,832 22,562 61,146 80,497 ▲ 19,351 運送業道庁補助金38,546 雑損2,123 15,476
1929 42,887 51,604 108,840 109,903 ▲ 1,063 雑損3,057 18,082 29,784
1930 37,586 24,487 76,872 80,336 ▲ 3,464 17,646 32,219
1931 24,973 17,830 54,650 58,838 ▲ 4,188 15,870 32,290
1932 14,722 18,784 38,706 39,844 ▲ 1,138 自動車及運送業道庁補助金30,861 雑損4,407 14,829
1933 17,825 38,534 71,549 72,685 ▲ 1,136 自動車2,055 13,130 23,124
1934 17,714 37,209 83,862 55,741 28,121 自動車3,423 補助返納金9,591雑損償却金1,770 10,923 11,680
1935 13,675 19,836 41,777 44,381 ▲ 2,604 自動車4,206 8,119 16,935
1936 10,310 18,564 32,923 35,863 ▲ 2,940 自動車7,181 雑損110 7,440 8,935
1937 10,953 16,937 32,839 40,262 ▲ 7,423 自動車5,972 雑損1,986 6,509 8,281
  • 鉄道省鉄道統計資料、鉄道統計資料、鉄道統計各年度版

所有機関車

1958年(昭和33年)当時3台 [18]

  • B5tディーゼル機関車:1952年加藤製(朝日営林署から払下げ)
  • B5tディーゼル機関車:1954年協三
  • B5tディーゼル機関車:1954年酒井製、協三によるディーゼル改造

  1. ^ a b 広告 商業登記「株式会社(設立)」『官報』1919年10月20日 (国立国会図書館デジタルコレクション)
  2. ^ 旭川営林局史(第一巻) 1960年12月20日発行
  3. ^ 王子製紙社史 1959年発行 第4巻 P212-213 によれば、敷設はこの地に広大な土地を所有していた帯広町の奥野小四郎で、それを富士製紙が譲り受け、資本金20萬圓で当社を設立、製紙会社合併後に王子製紙に引き継がれたが、御料林年期払下契約満期に伴い昭和14年12月に帝室林野管理局の依頼を受けて譲渡のうえ解散した。となっている。
  4. ^ 朝日 1979, p. 24.
  5. ^ 『官報』1919年04月10日
  6. ^ a b 井口 2021, p. 4.
  7. ^ 井口 2021, p. 26.
  8. ^ a b c d e 井口 2021, p. 5.
  9. ^ 『官報』1924年08月28日
  10. ^ a b 朝日 1979, p. 27.
  11. ^ 鉄道省監督局『地方鉄道及軌道一覧』昭和10年4月1日現在(国立国会図書館デジタルコレクション)
  12. ^ a b c d e 井口 2021, p. 9.
  13. ^ 日本セメント70年史 日本セメント株式会社 社史編纂委員会編 昭和30年10月発行 P623-626,P643-644。それぞれの当時の住所は士別工場は士別町兵村111番地、採掘場は奥士別御料4線付近。北辺防備のため、陸軍の要請により工場が建設され、昭和19年6月20日より軍需向けの操業を開始した。戦後は北海道庁の要請により事業が継続されたが、採算不良のため産業設備営団へ移管となった。営団では何度か操業を試みたがいずれも失敗に終わった。国土地理院地図・空中写真閲覧サービス空中写真では、1963年(昭和38年)から1968年(昭和43年)の間に工場が撤去されている。
  14. ^ a b c 『北海道の私鉄車両』 p240
  15. ^ 朝日 1979, p. 35.
  16. ^ 『新士別市史』 p713
  17. ^ 『昭和29年夏 北海道私鉄めぐり』(上) p40
  18. ^ 「北海道における森林鉄道用ジーゼル機関車について」北海道大學農學部 演習林研究報告 1959年7月 小熊米雄
  19. ^ 北海道のバス事業 - 第4章 歴史的な大統合, 北海道バス協会, http://www.hokkaido-bus-kyokai.jp/reki4.html#index7 2011年6月7日閲覧。 
  20. ^ 北海道で路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」を開始 - ヤマト運輸、2016年9月27日、同年10月2日閲覧
  21. ^ 全国乗合バス事業者の移動円滑化基準適合車両導入状況” (PDF). 国土交通省. 2018年3月17日閲覧。
  22. ^ ただし、外廻り循環(北6丁目先廻り)は駅前から大通の各停留所の区間のみ150円となっている。1区間のみの乗車は循環線共通で110円となっている。
  23. ^ 温根別線バス運行時刻等の変更について”. 士別市. 2019年8月13日閲覧。
  24. ^ a b c d e f 『新士別市史』 pp714 - 715
  25. ^ 士別市地域公共交通総合連携計画” (PDF). 士別市. 2019年8月13日閲覧。
  26. ^ 川南・大和線のデマンド化(予約運行)について”. 士別市. 2019年8月13日閲覧。
  27. ^ 一般貸切旅客自動車運送事業における営業区域の弾力的な運用について” (PDF). 北海道運輸局. 2018年3月11日閲覧。
  28. ^ 貸切バス事業者一覧” (PDF). 北海道運輸局. 2018年3月11日閲覧。
  29. ^ 貸切バス会社一覧, 北海道バス協会, http://www.hokkaido-bus-kyokai.jp/pdf/kankou.pdf 2011年6月7日閲覧。 
  30. ^ カメラレポート…ハイブリッド・ノンステップバス出発式(3月30日), 士別市, (2010-03-31), オリジナルの2010-04-17時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20100417105200/http://www.city.shibetsu.lg.jp/www/contents/1270192288380/index.html 2011年6月7日閲覧。 
  31. ^ a b c 大口弘明「40歳レトロバス、発車オーライ 士別軌道22日運行開始 長寿「坂はゆっくりと」」『北海道新聞』、2023年4月11日。2023年5月21日閲覧。
  32. ^ a b c 井口 2021, p. 50.


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