嘔吐
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/06 04:21 UTC 版)
治療
基本的には、心筋梗塞では経皮的冠動脈形成術(PCI)といった原因療法を行う。対症療法としては制吐薬、グリセオールといった脳圧降下薬、胃内容物の除去としてNGチューブの挿入などが行われる。制吐薬としては消化器疾患が疑われた場合はドパミン拮抗薬や抗コリン薬が用いられる。ドパミン拮抗薬としてはメトクロプラミド(プリンペラン®)、ドンペリドン(ナウゼリン®)などがよく用いられる。これは消化管蠕動運動を亢進させることで内容物が通過することにより、嘔気が軽減する。静注、筋注、坐薬、経口といった各種薬剤が市販されている。点滴静注では即効性がないことが知られている。心窩部の不快感ではなく腹痛が認められる時は蠕動の亢進で症状が悪化することがあり、注意が必要である。この場合は抗コリン薬であるブチルスコポラミン(ブスコパン®)が好まれる傾向がある。抗コリン薬は腸管蠕動を抑制することで悪心、嘔吐を軽減する作用がある。胆管や尿管にも同様に作用する。また内視鏡的に潰瘍、炎症所見が認められない機能性ディスペプシアの場合はセロトニン5-HT4受容体刺激薬であるモサプリド(ガスモチン®)がよく用いられる。
また制吐薬に分類されるドパミン拮抗薬はスルピリド(ドグマチール®)を除き中枢神経作用は殆どないとされているが稀に錐体外路症状が出現することがある。振戦(ふるえ)、無動、固縮といったパーキンソン症候群の形をとることが多く、この場合は抗コリン薬であるビペリデン(アキネトン®)などがよく用いられる。また胃潰瘍やGERDによる悪心、嘔吐に関してはH2ブロッカーやPPIが用いられる。その他、種種の原因で起こる悪心、嘔吐に対する制吐薬を以下に纏める。
疾患分類 | 用いる制吐薬 |
---|---|
片頭痛 | 5-HT1B/1D受容体作動薬 |
前庭系・心因性 | 抗ヒスタミン薬+抗不安薬 |
機能性ディスペプシア | 5-HT4受容体作動薬 |
便秘 | 瀉下薬 |
抗がん剤によるacute emesis | 5-HT3受容体拮抗薬やステロイド |
治療に反応しなかった場合は経口摂取不可能であることが多く、入院の適応となる。治療薬の変更よりも原因疾患の再検索重要となる場合が多い。特に異常がなく不定愁訴として嘔気・嘔吐が起きる場合、消化器機能改善剤であるメトクロプラミドやドンペリドン、ドパミン遮断効果・鎮静効能のある抗精神病薬のクロルプロマジンなどの投与を対症療法として使用される場合がある。
- ^ 酔客の「落とし物」マシンで処理/嘔吐物清掃 求人難で開発/JR子会社 来年2月にも配備『東京新聞』朝刊2018年12月18日(社会面)2018年12月23日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “バスの車内で吐く寸前になってしまったら…?【ご質問に回答します!】”. www.bushikaku.net. 2022年6月3日閲覧。
- ^ スンクス嘔吐実験モデルの確立とその応用
- ^ 実験動物スンクスの紹介
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