冥王代 後期重爆撃期

冥王代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/01 14:06 UTC 版)

後期重爆撃期

後期重爆撃期とは、アメリカアポロ計画で持ち帰った月の石の分析結果から判明した事件。約38億年から40億年前の短期間に集中的に大量の巨大な隕石が月に落下した。月の表面に黒っぽく見える「海」は、大きな隕石が衝突して月の地殻がえぐられその下のマントルが溶解して玄武岩質溶岩のマグマとなってたまった低地であるが、アポロ計画で持ち帰った「海」の石の年代分析を行った結果、形成時期が38億年から40億年前であることが分かった[18]。地球は月のすぐ近くに存在し重力も大きいので、この時期に地球にも月と同等以上の隕石が落下したと考えられる。当時地表に地殻が形成されていたとしても、隕石落下の衝撃で破壊されてしまったため40億年より古い岩石はほとんど残っていないとする説がある[19]。この時期に生命が存在していた証拠は無いが、もし存在したとすると巨大隕石衝突のエネルギーですべての海水が蒸発するような悪条件の中でも生き残ったことになる。生物の遺伝子分析によれば最も古い生物は熱に強い好熱菌や超好熱菌に分類されるので、隕石衝突を生き抜けたのかもしれない[20]

脚注

参考文献

関連項目


注釈

  1. ^ その理由の一つとして、巨大な小惑星が地球に衝突し形成されかけていた地殻がことごとく破壊されたと推測されている[1]
  2. ^ 岩石には生物の痕跡である化石も含む。
  3. ^ 始原的隕石である炭素質コンドライトの分析結果、隕石では揮発性の強い水素ヘリウムは減少しているが、それ以外の成分はよく一致している。
  4. ^ 超新星爆発の証拠として上記ヨウ素129のほかに、隕石から半減期60万年のアルミニウム26や半減期900万年のハフニウム182が見つかっている[9]
  5. ^ この計算は脱出速度がベースであり、実際にはもっと速いものもある。
  6. ^ K/T境界参照。

出典

  1. ^ 川上紳一・東條文治『図解入門 最新地球史がよく分かる本 [第2版]』秀和システム 2009年 170ページ
  2. ^ International Stratigraphic Chart(ICS)”. The International Commission on Stratigraphy (ICS). 2009年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年4月24日閲覧。
  3. ^ 『凍った地球 : スノーボールアースと生命進化の物語』p29
  4. ^ アカスタ片麻岩”. 2020年11月7日閲覧。
  5. ^ 「地球進化論」p3
  6. ^ 「地球進化概論」p11
  7. ^ 「地球進化概論」p12-13
  8. ^ 「地球進化概論」p15
  9. ^ 「地球進化概論」p10-11
  10. ^ 「地球進化概論」p16
  11. ^ 「地球進化論」p19-20
  12. ^ 「地球進化概論」p17
  13. ^ 「地球進化概論」p33
  14. ^ 「地球進化概論」p31-33
  15. ^ 「地球進化概論」p33-34
  16. ^ 「最新地球史が良く分かる本」p97-98
  17. ^ 「地球進化概論」p42
  18. ^ 「最新地球史が良く分かる本」p135-137
  19. ^ 「最新地球史が良く分かる本」p136
  20. ^ 「地球環境46億年の大変動史」p59-60


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