レスラー方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/20 03:31 UTC 版)
軌道
レスラー方程式は特定のパラメータの範囲でストレンジアトラクターを持つ。特に、パラメータ a = 0.2、b = 0.2、c = 5.7 はレスラーにより最初に導入されたときのパラメータ値で[4]、このパラメータ値のときのストレンジアトラクターはレスラー・アトラクタ(Rössler attractor)として良く知られている[10]。このアトラクタの形は、メビウスの帯のような、リボンを一回ひねって両端を合わせた形になっている[11]。
分岐は、パラメータが3つあるため組合せが複雑だが、周期倍分岐やサドルノード分岐などが発生する[12]。例えば、c = 2.5 では、系のアトラクタはリミットサイクルとなる[3]。a と c をレスラー・アトラクタの値で固定し、b を変化させていったときの分岐図を右図に示す。図右側の不動点から始まって、周期点の倍加(周期倍分岐)を経て、カオス(赤線で塗り潰された範囲)に至っている。ロジスティック写像と同じように、カオスに至った後にも b を減少させていくと、カオス領域から、サドルノード分岐により窓と呼ばれる周期点の領域の分岐する[12]。
参考文献
- O.E.Rössler (1976). “An equation for continuous chaos”. Physics Letters 57A (5): 397-398.
- O.E.Rössler (1976). “Different types of chaos in two simple differential equations”. Zeitschrift für Naturforsch 31a (5): 1664-1670.
- 合原一幸(編)、2011、『カオス時系列解析の基礎と応用』第4刷、産業図書 ISBN 978-4-7828-1010-1
- 下條隆嗣、1992、『カオス力学入門 ―古典力学からカオス力学へ』初版、近代科学社〈シミュレーション物理学6〉 ISBN 4-7649-2005-0
- 小室元政、2005、『基礎からの力学系 -分岐解析からカオス的遍歴へ-』新版、サイエンス社 ISBN 4-7819-1118-8
- 合原一幸(編)、1990、『カオス ―カオス理論の基礎と応用』初版、サイエンス社 ISBN 4-7819-0592-7
- 井上政義、1997、『やさしくわかるカオスと複雑系の科学』初版、日本実業出版社 ISBN 4-53402492-4
- Steven H. Strogatz、田中久陽・中尾裕也・千葉逸人(訳)、2015、『ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス―数学的基礎から物理・生物・化学・工学への応用まで』、丸善出版 ISBN 978-4-621-08580-6
外部リンク
- ウィキメディア・コモンズには、レスラー方程式に関するカテゴリがあります。
- Rossler attractor (英語) - スカラーペディア百科事典「レスラー方程式」の項目。
- レスラー方程式のページへのリンク