リース=ソリンの定理 応用

リース=ソリンの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 14:39 UTC 版)

応用

ハウスドルフ=ヤングの不等式

本記事の第一節で、フーリエ変換 L1(Rd) から L(Rd) への有界作用素かつ L2(Rd) からそれ自身への有界作用素であることが確かめられた。同様の議論により、周期函数 f  : TC を、値がフーリエ係数

であるような函数 に写すフーリエ級数作用素は、L1(T) から (Z) への有界作用素かつ L2(T) から 2(Z) への有界作用素であることが分かる。このとき、リース=ソリンの定理は次を意味する:

ただし 1 ≤ p ≤ 2 かつ 1/p + 1/q = 1 である。これはハウスドルフ=ヤングの不等式である。

ハウスドルフ=ヤングの不等式はまた、局所コンパクトアーベル群上のフーリエ変換に対しても成立することが示される。ここで 1 のノルム評価は最適ではないことに注意されたい。例えばハウスドルフ=ヤングの不等式の記事を参照されたい。

畳み込み作用素

f を固定された可積分函数とし、Tf との畳み込み作用素、すなわち各函数 g に対して Tg =  f  * g で与えられる作用素とする。

このような TL1 から L1 への有界作用素であることはよく知られており、L から L への有界作用素であることは自明である(いずれの場合も、|| f ||1 によって評価される)。したがって、リース=ソリンの定理より次が成立する。

この不等式に対し、作用素と被作用子の役割を変える、すなわち Sg との畳み込み作用素とし、SL1 から Lp への有界作用素である場合を考える。gLp に属すため、ヘルダーの不等式の観点から、SLq から L への有界作用素であることが再び分かる。ただし 1/p + 1/q = 1 である。したがって補間により

が得られる。ただし pr および s の間の関係は次で与えられる。

ヒルベルト変換

f  : RCヒルベルト変換は次で与えられる。

,

ここで p.v. は積分のコーシーの主値を表す。このヒルベルト変換は、ある特定の単純な乗数を伴うフーリエ乗数作用素英語版である:

プランシュレルの定理より、ヒルベルト変換は L2(R) からそれ自身への有界作用素となる。

しかし、ヒルベルト変換は L1(R) あるいは L(R) 上で有界とはならず、直接的にリース=ソリンの補間定理を用いることは出来ない。それらの終点の境界が得られない理由を探るためには、簡単な函数 1(−1,1)(x) および 1(0,1)(x) − 1(0,1)(−x) のヒルベルト変換を計算すれば十分である。しかし、すべてのシュワルツ函数 f  : RC に対しては

が成り立ち、この等式は、すべての n ≥ 2 に対してヒルベルト変換が L2n(Rd) からそれ自身への有界作用素を示すために、コーシー=シュワルツの不等式と組合せて用いることが出来る。補間によって、次の評価が得られる:

ただし 2 ≤ p < ∞ である。1 ≤ p ≤ 2 の場合にこの評価を適用する上では、ヒルベルト変換の自己共役性が活用される。


  1. ^ Stein and Weiss (1971) および Grafakos (2010) では単函数上の作用素が用いられ、Muscalu and Schlag (2013) では共通部分 Lp0Lp1 の一般の稠密部分集合上の作用素が用いられている。それらとは対照的に、Duoanddikoetxea (2001)、Tao (2010) および Stein and Shakarchi (2011) では、本節で説明している加法的和集合の式が用いられている。
  2. ^ Riesz (1927) を参照。証明では双線型形式の理論における凸性に関する結果が利用された。このため Stein and Weiss (1971) などの多くの古典的な文献では、この定理のことはリースの凸性定理(Riesz convexity theorem)と呼ばれている。
  3. ^ Thorin (1948)
  4. ^ Stein (1956). チャールズ・フェファーマンの書 Fefferman, Fefferman, Wainger (1995) で指摘されているように、スタインの補間定理の証明は本質的にはリース=ソリンの定理と同じであるが、作用素には z が加えられている。この埋め合わせのために、Isidore Isaac Hirschman, Jr.によるアダマールの三線定理英語版のより強いヴァージョンが用いられ、求める上界が得られている。詳細な証明については Stein and Weiss (1971) を参照されたい。またこの定理のハイレヴェルな解説については a blog post of Tao を参照されたい。
  5. ^ Fefferman and Stein (1972)
  6. ^ エリアス・スタイン は、調和解析に現れる興味深い作用素が L1L 上で有界であることは滅多にないと述べている。





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