リチャード・ストールマン 人物

リチャード・ストールマン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/31 17:02 UTC 版)

人物

私生活

ストールマンは質素な生活で知られる。たとえば、彼は、リサーチ・アフィリエイトとしてMITに在籍しているが無給である。また、同大学のCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)にオフィスを構えている以外には、定住のための住居を持っていない。彼は、この生活について「私はいつも安上がりな生活をしてきた……つまり学生みたいにね。私はそういう生活が好きなんだ。そういう生活なら、カネの言いなりになる必要がないからね」[14] としている。

また、プライバシーの問題に強い意識を抱いていることでも知られている。たとえば、追跡を受けることで重大なプライバシー侵害が生じうるという理由[15]携帯電話を持たないことを推奨している[16]。また、同様に入室の時間と回数の追跡が可能になるという理由で、オフィスのある建物のカードキーを使うことを避けている[17]。さらに、「個人的な理由」から、GNUFSFの自分のページかそれに関連するページ以外は自分のコンピューターから直接ブラウズすることはないと述べている。そして、その代わりとして、wgetを動かしているサーバーにメールを送り、見たいページをメールで送らせるという方法を用いているという[18][19]

彼はLibreboot英語版と呼ばれるBIOSの自由ソフトウェアな実装を導入したThinkpad X200を使用し、GNU FSDGに適合する完全に自由なGNUディストリビューションであるTrisquel GNU/Linuxを使用している[19]

キーボードはHappy Hacking Keyboardを愛用していることで知られる[20]

ストールマンは、多言語話者でもある。彼の母国語は英語であるが、彼はそれに加えてスペイン語フランス語も流暢に話すことができる。実際にこれらの言語で二時間のスピーチも行っている。本人によれば、カタコトではあるが、インドネシア語も使えるという[21]

趣味

ストールマンはコンロン・ナンカロウ[22] からフォーク音楽[23] に至るまでの幅広い音楽を好んでいる。ベラ・フレック&ザ・フレックトーンズウィアード・アル・ヤンコビックも好きであると述べている[24]

彼は作曲も行っており、ブルガリアのフォークダンス音楽「サディ・モマ」の替え歌としてフリーソフトウェアの歌を作っている。最近では、キューバのフォークソング「グアンタナメラ(英語)」を元に、グアンタナモ米軍基地の囚人のことを歌った歌を書き上げ、キューバにて現地の音楽家とともにレコーディングしている[25]

また、ストールマンはSFのファンでもあり、グレッグ・イーガンの作品を好んでいるという。ストールマン自身、「The Right to Read」と「Jinnetic Engineering」という二つのSF作品を書き上げている。

宗教

1999年の記事の注釈によれば「私は無神論者なので、どの宗教的指導者にも従おうとは思わないが、ときに彼らの言ったことには尊敬の念を覚える」としている[26]

なお、ストールマンは12月25日をクリスマスではなくGrav-massとして祝うことを提唱している。これは万有引力(universal gravitation)の法則を発見したアイザック・ニュートンを祝う日であり、彼がユリウス暦の12月25日に生まれたことにちなむものである。

政治

影響を受けた人物について、ストールマンは、マハトマ・ガンディーキング牧師ネルソン・マンデラアウンサンスーチーラルフ・ネーダーデニス・クシニッチの名前を挙げたうえ、「フランクリン・ルーズベルトウィンストン・チャーチルも尊敬しているよ。彼らの行ったことの一部には批判的なんだけどね」と述べている。また、ストールマンは、緑の党の支持者であり、国民投票による立法制度の実現を目指すナショナル・イニシアティブ運動の支持者でもある[27]

ストールマンは、電子投票の反対者でもある。実際に、2008年3月1日に行われたマンチェスターでの講演の中で、投票用紙のコピーさえあれば再集計がより容易であるという理由で、ストールマンは紙による投票を擁護している[28]


  1. ^ "Richard Stallman's mother, Alice Lippman, still remembers the moment she realized her son had a special gift." Chapter 3, Free as in Freedom http://oreilly.com/openbook/freedom/ch03.html
  2. ^ Williams, Sam (2002). Free as in Freedom: Richard Stallman's Crusade for Free Software. O'Reilly. p. 41. ISBN 0596002874 
  3. ^ http://www.stallman.org/
  4. ^ Past Pioneer Award Winners Electronic Frontier Foundation
  5. ^ Musil, Steven. “Computer scientist Richard Stallman resigns from MIT after defending Jeffrey Epstein” (英語). CNET. 2019年9月17日閲覧。
  6. ^ リチャード・ストールマン氏がフリーソフトウェア財団の理事に復帰”. ZDNet Japan (2021年3月23日). 2021年3月30日閲覧。
  7. ^ たった一通のメールで代表辞任に追い込まれたリチャード・ストールマンがフリーソフトウェア財団に復帰”. GIGAZINE. 2021年3月30日閲覧。
  8. ^ Stallman, Richard M; Sussman, Gerald J (1977年). “Forward Reasoning and Dependency-Directed Backtracking In a System for Computer-Aided Circuit analysis”. Artificial Intelligence 9. pp. 135–196. 2011年4月11日閲覧。
  9. ^ Williams, Sam (2002). Free as in Freedom: Richard Stallman's Crusade for Free Software. O'Reilly Media. ISBN 0-596-00287-4  Chapter 6. Available under the GFDL in both the initial O'Reilly edition (accessed on 27 October 2006) and the updated FAIFzilla edition . Retrieved 27 October 2006.
  10. ^ Leonard, Andrew. “Code free or die”. Salon.com. 2011年4月13日閲覧。
  11. ^ Stallman, Richard. "Encounter with President Chavez (2004-12-01 to 2004-12-06)". Richard Stallman Travel and Free Software Activities Journal.
  12. ^ Chavez threatens dignitaries”. 2011年4月23日閲覧。
  13. ^ Kerala logs Microsoft out”. The Financial Express. 2011年4月23日閲覧。
  14. ^ Stallman, Richard (2001年5月29日). “Transcript of Richard M. Stallman’s speech”. Free Software Foundation. 2006年11月26日閲覧。
  15. ^ A Rare Glimpse Into Richard Stallman's World”. 2011年5月9日閲覧。
  16. ^ Transcript of Richard Stallman at the 3rd international GPLv3 conference; 22nd June 2006”. 2011年5月9日閲覧。
  17. ^ The Shaggy God”. 2011年5月9日閲覧。
  18. ^ Stallman, Richard (2007年12月15日). “Real men don't attack straw men”. OpenBSD 'misc' Mailing List. 2009年3月24日閲覧。 “For personal reasons, I do not browse the web from my computer”
  19. ^ a b How I do my computing”. 2023年9月3日閲覧。
  20. ^ 関根慎一 (2017年10月2日). “「HHKB 20周年記念ユーザーミートアップ」イベントレポート”. AKIBA PC Hotline!. 2019年12月16日閲覧。
  21. ^ http://mail.gnome.org/archives/foundation-list/2011-January/msg00043.html
  22. ^ Bruce Sterling interview”. 2011年5月9日閲覧。
  23. ^ Humorous bio”. 2011年5月9日閲覧。
  24. ^ Richard Stallman Playlist”. 2011年5月9日閲覧。
  25. ^ Stallman, Richard M. “Guantanamero”. 2007年5月4日閲覧。
  26. ^ Various (1999). “Stallman chapter”. Open Sources: Voices from the Open Source Revolution. O'Reilly Media. ISBN 1-56592-582-3. http://www.oreilly.com/catalog/opensources/book/stallman.html 2006年12月9日閲覧。 
  27. ^ Richard Stallman's Personal Page”. 2011年5月9日閲覧。 “Long Term Action Items: Support the National Initiative for Democracy”
  28. ^ Stallman, Richard (1 May 2008). Free Software in Ethics and Society (Speech). Manchester, England. 2011年5月9日閲覧






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