マーテル (ミサイル) マーテル (ミサイル)の概要

マーテル (ミサイル)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/12 01:23 UTC 版)

マーテル
種類 空対地ミサイル
製造国 フランス / イギリス
性能諸元
ミサイル直径 40 cm
ミサイル全長 4.12 m (AS.37)
3.87 m (AJ.168)
ミサイル全幅 1.20 m
ミサイル重量 530 kg (AS.37)
550 kg (AJ.168)
弾頭 150 kg
射程 30 km
推進方式 固体燃料ロケット
誘導方式 PRH (AJ.168) / TV (AS.37)
飛翔速度 亜音速
テンプレートを表示

設計

TV誘導型

その名の通り、パッシブ・レーダーホーミング(PRH)誘導版(対レーダーミサイル)のAJ.168と、画像(TV)誘導版のAS.37とがファミリー化して開発された。AJ.168はファイア・アンド・フォーゲットが可能だったのに対し、AS.37は、必要に応じて指令誘導を行う必要があった。目標を捕捉する公算を向上させ、母機への危険を最小化するため、事前に幅広いコースをインプットすることができた[1]。AJ.168はマトラ社で製造され、そのAD-37誘導装置はエレクトロニーク・マルセル・ダッソー社で製造された。一方、AS.37はHSD社で製造され、その画像・指令誘導装置はマルコーニ社で製造された[2]

エンジン固体燃料ロケット方式を採用しており、ブースターとしては2.4秒間燃焼するホチキス-ブラーント/SNPE社製のバジル、サステナーとしては22.2秒間燃焼するアエロスパシアル/SNPE社製のカサンドラが採用されていた[2]

運用史

モックアップを用いた試験は1964年夏より開始され、1965年から1966年にかけて両バージョンの試作機が完成した。試射は成功を収め、1968年に開発完了が宣言された。1969年からの実用試験を経て、1972年より装備化された[1]。なお1960年代後半、CVA-01級航空母艦の計画中止に直面したイギリス海軍は、打撃力低下を補うため、PRH誘導版マーテルを潜水艦に搭載することを検討していたが、結局これは実現しなかった[3]

その後、フランスでは、若干高速化するとともにPRH誘導装置の改良を図ったARMAT英語版が開発され、AJ.168の後継として配備されたが、1990年代後半の時点でも、若干数のマーテルが残存していた[4]。またマトラ社では、イタリアオート・メラーラ社と共同で、マーテルを元にした艦対艦ミサイルとしてオトマートを開発したほか[5]、BAeダイナミクスもマーテルを元にした空対艦ミサイルとしてシーイーグルを開発した[6]。更にアエロスパシアル社のエグゾセについても、固体燃料ロケット・モーターは本機との類似性が指摘されている[7]

採用国

出典


  1. ^ a b c Taylor 1974, p. 619.
  2. ^ a b c Taylor 1978, pp. 638–639.
  3. ^ Friedman 2012, Ch.14 The Post-Carrier Generation.
  4. ^ Friedman 1997, p. 224.
  5. ^ henridewaubert (2017年10月26日). “Les programmes secrets avec l’Irak, 1977-1984 : le “Bazar” de Bagdad.”. 2019年7月3日閲覧。
  6. ^ Friedman 1997, pp. 248–249.
  7. ^ Taylor 1974, p. 615.


「マーテル (ミサイル)」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「マーテル (ミサイル)」の関連用語

マーテル (ミサイル)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



マーテル (ミサイル)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのマーテル (ミサイル) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS