マサチューセッツ工科大学 軍事・経済的な貢献

マサチューセッツ工科大学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/16 03:56 UTC 版)

軍事・経済的な貢献

1940年、MITは軍事技術の研究開発にかかわるようになった。当時、アメリカ軍イギリス海軍が開発したレーダーに関心を持っており、研究プロジェクトを行う上で、設備[注釈 5]やその運営実績があったMITに注目した[注釈 6]。その一年後、太平洋戦争がはじまるとMITのキャンパス北端に「放射線研究所」(Radiation Lab・ラドラブ)と称する軍事研究所が設置され、MITはカリフォルニア工科大学などとともに戦争の一翼を担った。さらにMITは新兵器開発のために必要な資金や物資をアメリカ政府から得ることに成功するとともに、MITの学生の徴兵猶予の権利を勝ちとった。この経験はマサチューセッツ工科大学の名を世界で高めるきっかけとなった。 「彼らは2万5800もの会社を設立し、300万人の雇用を生み出していた」ことが分かったという。これには、シリコンバレーの雇用の約4分の1を含む。「もしMITが国家だとすると、世界で11番目のGDPを有することになる」

2014年までの間、MITが公式発表したノーベル賞受賞者は81名であり、この数はハーバード大学の公式発表受賞者48名を上回っている。ハーバード大学は、英国のオックスフォードやケンブリッジをモデルに上流階級用の古典教育にこだわり、ラテン語やギリシャ語に力を入れていた。

これに対してMITは、研究と実践的な実験による学習というドイツ的なシステムを採用した。「知識は重要だが、有用でなければならない」という考え方がMITの伝統で、米国の主要大学としては非常に規模が小さく学生数は約1万人、教員数は約1000人に過ぎない。日本の東大や早慶に比べても小さく、東京工業大学と同じ規模である。

スタッフの約40%が米国以外の生まれで、すぐに役には立ちそうにないことでも取り組むことが許される、財政的・精神的余裕を持っている。


注釈

  1. ^ 「ミット」は誤用で、主に日本、欧州の極めて一部で用いられる。
  2. ^ List of Nobel laureates by university affiliation
  3. ^ この状況についてMITのある校長は「ここ (MIT) は子供が遊ぶ場ではなく、大人が学ぶための場所である」とその特徴について語っている。
  4. ^ なかには思い上がった者がボールボーイなどと中傷する者もいた。
  5. ^ MITには鉄道の引き込み線なども存在した
  6. ^ 正確には「ボストン地区にあった他の候補に比べて」という意味であり、ほかの大学は実践経験が乏しい理論派学校か美術学校ばかりで軍の基準に合致しなかったためである。実際にプロジェクトを行う上で、政府はロチェスター大学のリー・ドゥブリッジを指導者として招いた。
  7. ^ これらが日本の大学における「学部」・「研究科」に相当する。

出典

  1. ^ Symbols: Seal”. MIT Graphic Identity. MIT. 2010年9月8日閲覧。
  2. ^ MIT releases endowment figures for 2014”. MIT News. 2014年9月13日閲覧。
  3. ^ Faculty and Staff”. MIT Facts. MIT. 2014年3月11日閲覧。
  4. ^ a b Enrollment Statistics”. MIT Registrar. 2014年9月13日閲覧。
  5. ^ The Campus”. MIT Facts 2012. 2012年5月31日閲覧。
  6. ^ Colors - MIT Graphic Identity”. Massachusetts Institute of Technology. 2014年9月26日閲覧。
  7. ^ The Official Site of MIT Intercollegiate Athletics - MIT”. 2015年9月6日閲覧。
  8. ^ Symbols: Mascot”. MIT Graphic Identity. MIT. 2010年9月8日閲覧。
  9. ^ NAICU – Member Directory Archived 2015年11月9日, at the Wayback Machine.
  10. ^ 藤崎博也 編『日本MIT会七十五年の歩み』日本MIT会、東京、1986年10月31日、[要ページ番号]頁。 
  11. ^ D. Kaiser (2010). Becoming MIT. MIT Press. p. [要ページ番号]. ISBN 9780262113236 
  12. ^ The 20 colleges that have created the most millionaires and billionaires/BUSINESS INSIDER Written by Tanza Loudenback May 18, 2017, 1:45 AM JST 2024年5月閲覧
  13. ^ フレッド・ハプグッド 著、鶴岡雄二 訳『マサチューセッツ工科大学』新潮社、1995年9月25日、[要ページ番号]頁。ISBN 9784105315016 
  14. ^ SHIMBUN,LTD, NIKKAN KOGYO. “【電子版】米MIT、寄付基金資産 約1.6兆円に”. 日刊工業新聞電子版. 2022年5月1日閲覧。
  15. ^ a b Lu-Hai Liang (2012年9月13日). “What's it like to study at MIT?”. theguardian,. https://www.theguardian.com/education/2012/sep/13/whats-it-like-to-study-at-mit 2014年9月13日閲覧。 
  16. ^ a b Paul Krugman, PhD ’77”. MIT Technology Review. MIT News Magazine (2014年8月19日). 2014年9月13日閲覧。
  17. ^ 日経BP. “理系の世界的な名門・MITで、なぜ音楽の授業が人気?:日経xwoman”. woman.nikkei.com. 2023年1月10日閲覧。
  18. ^ 日経BP. “理系の世界的な名門・MITで、なぜ音楽の授業が人気?:日経xwoman”. woman.nikkei.com. 2023年1月10日閲覧。
  19. ^ IHTFP Hack Gallery”. 2005年6月2日閲覧。





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