出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/14 15:11 UTC 版)
定式化
以下では Maggiore (2008) に従い、展開パラメータを重力源の速度 と光速 の比 とし、 の量を添え字 により表す。また、物質場は非相対論的でありそのエネルギー・運動量テンソル は を満たすものと仮定する。また光速 を1とする単位系を採用する。
物質場が存在しないミンコフスキ時空では計量テンソル は , と書けるため、ポスト・ニュートン展開ではこの計量に対する補正項を のべき級数という形で求めることになる。重力波放射を無視する近似では、時間反転対称性のため例えば には の奇数次の項は現れないため、この展開を次のように表示することができる[2]。
同様に、エネルギー・運動量テンソルは次の形に展開される。
ニュートン極限
アインシュタイン方程式に上記展開を代入し のべきで整理すると、調和ゲージ条件(De Donderゲージとも呼ぶ) のもとで、時間成分の最低次の項からは に関する方程式
が導かれる[3]。 は物質場のエネルギー密度であることから、この結果は計量の最低次の補正項 はニュートン理論における重力ポテンシャル と
という関係にあることを示している。同様に、アインシュタイン方程式の空間成分から が
と表示できることが従う[4]。
一方、アインシュタイン方程式の 成分の最低次の項は
という方程式であり、 はある種のベクトルポテンシャル
に等しいことが導かれる[5]。なお と は独立ではなく、ゲージ条件に対応する拘束条件 を満足する[6]