バイカル湖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/06 17:01 UTC 版)
研究
バイカル湖では数々の国際的研究や調査が行われている。特徴的な生態系の研究は1988年11月に当時のソ連科学アカデミーが「バイカル湖国際生態学研究センター」(BICER)を開設し、バイカル湖周辺を世界中の研究者に向けて門戸を開くとともに科学発展と環境および生態系保全への取り組みを始めた。これはロシア政府が引き継ぎ、日本やアメリカなど5カ国が参加した設立運営委員会の運営の下、バイカルアザラシの生態や予想外に進行していた環境汚染問題などに取り組んでいる[23]。
1997年にバイカル湖底の堆積土からメタンハイドレートが発見された[11][71][72][73]。これは淡水湖としては唯一である[18]。その後の調査で、土中深さ数m程度の浅い部分に分布する「表層型」が多く見つかり、南海トラフのような海底から250m以上深い場所にある「深層型」よりも採取が容易と期待される[11]。
バイカル湖の湖底掘削では、一方で過去数万年分のユーラシア大陸で起こった気候の変動を知る土壌サンプルを入手することができる[20][13]。これらは、ドリルで採取したコアをその層ごとに年代測定し[20]、各層における高分子炭化水素類やバクテリア由来の炭素内に含有する同位体比などを分析して考察される[13]。
透明度が高く不純物が少ない水を利用し、バイカル湖ではニュートリノの観測も行われている[74]。1993年に設置された[75]水深500m以上の湖底に沈めた検出器を使い、主に湖表が凍結する冬季に観測が行われる[10]。将来には、高エネルギーニュートリノを観測可能な、沿岸から3.6km離れた深さ1.1kmの地点に192個の光学モジュールを設置する「NT200」計画が予定されている[75][76]。
2008年、ロシア政府は地質学および生物学的調査のために深海探査船ミール2機をバイカル湖の湖底まで潜水させた[77]。水面下1,592mにまで到達した調査は成功したが、元々目指していなかったこともあり淡水湖潜水の世界記録(アナトリー・サガレビッチが1990年にバイカル湖で達成した1,637m)更新とはならなかった[77][78]。
固有名詞の分類
- バイカル湖のページへのリンク