ネジバナ 栽培に関して

ネジバナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 05:57 UTC 版)

栽培に関して

江戸時代に栽培されていて、花壇地錦抄では「もぢずり」として掲載されていた[3]。庭園の芝生などにも普通に見られ、サツキや他種の山野草を植えた鉢などに落ちた種子から発芽し非常に強健に育つ。都市部でも普通に繁殖していることから雑草扱いされる一方で、同一個体の長期的栽培は非常に難しいことが知られている。放任状態で何年も健全に育っていても、植え替えて土中の共生菌との関係を攪乱すると、開花結実した時に養分を使いはたして枯死してしまう場合もある。細心の注意をはらって特別な管理をされている斑入り品種などは例外として、同一個体を長年にわたって栽培している事例はほとんど報告されていない。

もともと自然状態でも個体寿命は短く、新しくできた裸地に種子がとびこんで生育し短期間で世代更新を続けている。そのため消長が激しく、造成地などに短期間で大群落が形成されることもあれば、それが数年で完全消滅してしまうこともあり自生状況が安定しない。

ネジバナの根は菌根となって菌類と共生しているが、ネジバナに共生する菌根菌として知られるもののひとつは、植物遺体を分解して生活する担子菌Tulasnella deliquescensであり、これは不完全菌 Rhizoctoniaの完全世代のひとつである。

近縁種

  • ナンゴクネジバナの花(沖縄県石垣市にて撮影)
    ナンゴクネジバナ(南国捩花、学名:Spiranthes sinensis var. sinensis
奄美大島以南の南西諸島と中国南部・海南島台湾に分布する[6]鹿児島県で、レッドリストの絶滅危惧種II類(VU)指定を受けている[9]。花序に毛が無い点でネジバナと異なる。
  • ハチジョウネジバナ(八丈捩花、学名:Spiranthes hachijoensis
九州四国中部関東に分布する。2023年に発表された新種。九州以北に自生するネジバナの仲間は長らくネジバナ1種と思われていたものの、形態の観察やDNAの分析から本種が分離された[10]

出典・脚注


  1. ^ 『牧野日本植物圖鑑』北隆館、1940年。 
  2. ^ a b 林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月、572-573頁。ISBN 9784635090421 
  3. ^ a b ネジバナ”. 三重県立博物館. 2011年9月26日閲覧。
  4. ^ 本田陽子 (1976年12月20日). “ネジバナSpiranthes sinensis A.花穂の拗捩について”. CiNii. 2011年9月26日閲覧。
  5. ^ 古澤結理 (2003年). “ネジバナのねじれに関する研究” (PDF). 新潟日報. 2011年9月26日閲覧。
  6. ^ a b c 『種子植物 双子葉類9・単子葉類1』朝日新聞社〈朝日百科 植物の世界〉、1997年10月、155頁。ISBN 4023800104 
  7. ^ a b 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日、428-429頁。ISBN 4-7980-1485-0 
  8. ^ ネジバナ”. 国営昭和記念公園. 2011年9月26日閲覧。
  9. ^ 日本のレッドデータ検索システム「ナンゴクネジバナ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2013年3月2日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  10. ^ 庭やベランダから新種!? 最も身近にみられるラン科植物「ネジバナ」の新種を発見”. 東北大学. 2023年3月23日閲覧。


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