ガスクロマトグラフィー ガスクロマトグラフィーの概要

ガスクロマトグラフィー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 23:27 UTC 版)

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ガスクロマトグラフィー
ヘッドスペースサンプラーを搭載したガスクロマトグラフ
略称GC
分類クロマトグラフィー
分析物有機化合物
無機化合物
気化 (enする物質である必要がある
その他の手法
関連薄層クロマトグラフィー
高速液体クロマトグラフィー
ハイフン繋ぎガスクロマトグラフィー–質量分析法

測定感度は高感度な検出器を用いれば市販品でも数十fg/s(フェムトグラム毎秒)オーダーレベルにまで及ぶ。各種の科学分野で微量分析技術として汎用されている。

概要

注入口からシリンジ等で打ち込まれたサンプルは、まず高温の気化室で気化した後、キャリアガスによってカラムに移動する。または、気体のままシリンジやバルブで導入された試料はキャリヤーガスによってカラムに移動する。クロマトグラフィーの原理によって各成分は分離され、その後検出器で電気信号に変換される。

時間を横軸に、検出器から得られた信号強度を縦軸にとることでクロマトグラムが得られ、保持時間から物質の同定、ピークと呼ばれるクロマトグラムの高さまたは面積から定量を行う。

ガスクロマトグラフィーでの分析では、各成分のピークが十分に分離する条件を見つけることが重要であり、カラムの種類の選択とカラム温度の制御が大切である。特に、保持時間が長いとピークがブロードになるので、カラム温度を昇温しながら分析を行うことが多い。

ガスクロマトグラフィーは原則として分析対象物が気化する物質で無ければ分析出来ないため、汎用性ではHPLCにやや劣る。しかしながら、HPLCでは分析が困難な炭化水素脂肪酸アルコールなど沸点の勾配によって分離される物質の分析に優れるため、醸造香料油脂石油化学等の分野で広く用いられる。

名称

一般的にガスクロとも呼ぶことが多く、ガスクロ工業(現:ジーエルサイエンス株式会社)という会社も存在した。

ガスクロマトグラフの構造

ガスクロマトグラフの構造の模式図

ガスクロマトグラフは大まかに以下のような構成となっている[1]。構成は分析目的によって異なるため、多くの場合で拡張性を確保した設計がなされている。

  • 試料導入部
  • キャリヤーガス導入部
    • 気化室
  • 恒温槽
    • 加熱・冷却装置(室温以下での分析が必要な場合などに使用)・撹拌ファン
  • カラム
    • 固定相
    • カラム管
  • 検出器
    • 検出データ出力装置
  • ガス排出部
    • ガス分取装置(無いこともある)
  • コントロールユニット

移動相

キャリヤーガスはガスクロマトグラフィーにおける移動相として用いられるガスのことで、一般にヘリウム窒素アルゴンなどの不活性ガスが用いられる。 検出器としてTCDを使用する場合にはキャリヤーガスの熱伝導度が大きい方が検出感度が上がるため、ヘリウムを使用することが多い。FIDを使用する場合には安価な窒素を使用することが多い。

キャリヤーガスには高純度が要求される。


  1. ^ a b c d e f g h i j 小森亨一「ガスクロマトグラフィー」『色材協会誌』第78巻第8号、色材協会、2005年、 377-383頁、 doi:10.4011/shikizai1937.78.377
  2. ^ 信和化工株式会社製 Shinwasorb; 多孔質シリカ担体
  3. ^ フロンティア・ラボ株式会社製 Ultra ALLOY® キャピラリーカラム
  4. ^ 中川勝博、田中幸樹、松田恵介「ガスクロマトグラフィー/質量分析法」『色材協会誌』第78巻第8号、色材協会、2005年、 384-388頁、 doi:10.4011/shikizai1937.78.384


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