オデュッセウス 『オデュッセイア』以外におけるオデュッセウス

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オデュッセウス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/25 02:16 UTC 版)

『オデュッセイア』以外におけるオデュッセウス

『オデュッセイア』の続編として作られた『テーレゴネイアー』では、オデュッセイアの後日談が語られている。『テーレゴネイアー』のあらすじは以下のとおりである。オデュッセウスがアイアイエー島を訪れた際、2人の間にはテーレゴノスが生まれた。テーレゴノスは成長するとオデュッセウスに会いにイタケー島に赴いたが、父オデュッセウスを間違えて殺めた。殺した男が自分の父であったことを知ったテーレゴノスは大いに嘆き、父の遺体をペーネロペーに見せた後、彼女と異母兄テーレマコスを伴ってアイアイエー島に戻った。そこでキルケ―はテーレマコスと、テーレゴノスはペーネロペーと結婚した。

実際には『テーレゴネイア』は現在では散逸してしまっており、そのあらすじは主にプロクロスの文学便覧(The Chrestomathy)にて語られるのみである[12]。また、同様の神話はアポロドーロスの『ギリシア神話(ビブリオテーケー』)やヒュギーヌスの『ギリシャ神話集』においても断片的に伝えられている。

またオデュッセウスは冥界にてテイレシアースから「海からは離れたところで安らかな死が訪れる」と予言を受けているため、テーレゴネイアの内容はそれとは矛盾している。テーレゴネイアにおいては「海からは離れたところで(ex halos)」を「海から」と解することでテーレゴノスから殺害される予言としているが、これはテーレゴネイアを頭に入れた上での解釈である。これらの理由により岩波文庫版『オデュッセイア』を翻訳した松平千秋は、テーレゴネイアにおける最期を「安らかな死」を迎えるテイレシアースの予言とは似ても似つかぬとして「言語道断、漫画的とでも評するほかない結着」と酷評している[13]


  1. ^ ホメロス、松平千秋訳、1994年、第19歌、p194
  2. ^ 『A Pre-Greek name for Odysseus』Glen Gordon2009年11月
  3. ^ アポロドーロス、3巻10・8-10・9。
  4. ^ アポロドーロス、高津春繁訳、pp.182-183
  5. ^ ホメロス、松平千秋訳、第9歌、pp.222-223
  6. ^ ホメロス、松平千秋訳、第9歌、pp.223-243
  7. ^ ホメロス、松平千秋訳、1994年、第12歌、pp.312-320
  8. ^ ホメロス、松平千秋訳、1994年、第12歌、pp.322-330
  9. ^ ホメロス、松平千秋訳、1994年、第5歌
  10. ^ ホメロス、松平千秋訳、1994年、第6歌~第8歌
  11. ^ ホメロス、松平千秋訳、1994年、第22歌・第23歌
  12. ^ 岡道男、1976年、pp.246-259
  13. ^ ホメロス、松平千秋訳、1994年、p.376


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