エイコーン・コンピュータ
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エイコーン解体(1998年-2000年)とその後の技術開発
セットトップボックスは期待したほど売れず、ネットワーク・コンピュータもほとんど売れなかった。これらは普通のコンピュータより低価格であることが強みだったが、パーソナルコンピュータの急激な低価格化でその利点も無意味となった。また、家庭への回線の帯域幅もどんどん拡大していった。1996年から1998年にかけて、オリベッティはエイコーン・グループを手放し、一連の取引で5400万ポンドを得た。エイコーンはリストラを開始し、子会社を吸収して部門とした。Acorn RISC Technologies はワークステーション部門となったが1998年末には廃止され、エイコーンはデスクトップコンピュータやセットトップボックスの製造を止めた。そのころ新たなマシン Phoebe(または Risc PC 2)がほぼ完成していたが、販売されることなく終わった。製造のために確保されていた筐体は安く売られた。
ARM社は順調で、1998年には株式公開(IPO)を果たした。
1999年1月、エイコーン・コンピュータは名称を Element 14 Ltd とし、チップとソフトウェアのIP開発企業、特にデジタルテレビ市場に注力する企業となった[12]。このころ、エイコーン・グループの時価総額はARMの時価総額の24%程度になっていた。そのため、株主からエイコーンの保有するARM株を売却させようとする(そうして得られた金を配当に回させる)圧力が働いた。また、ARM側もこの状況に対して動こうとした。エイコーンのような脆弱な企業がARM社の株の多くを保有していることは危険だからである。1999年6月1日、Morgan Stanley Dean Witter Investments Limited (MSDW)がエイコーン・コンピュータ・グループを買収した。これによってエイコーン・グループは上場廃止となり、同社が保有していたARM株はエイコーンの株主に分配された。
セットトップボックス部門はMSDWによって Pace Micro Technology に20万ポンドで売却され、Pace は1999年7月26日に RISC OS の権利を得た[13]。 Stan Boland を中心としたエイコーン経営陣はMSDWから Element 14 部門を150万ポンドで買い戻した。その後 Element 14 はいくつかのベンチャーキャピタルから825万ポンドを集め、運営が続けられた。同社はアルカテルのDSL技術者をヘッドハンティングすることに成功した[14]。その後、Element 14 はブロードコムによって2000年11月に3億6600万ポンドで買収された[15]。
- ^ From Atom to ARC, Acorn User 1988
- ^ Technologies time forgot: the Acorn Electron, Silicon.com
- ^ a b Low power hardware for a high performance PDA, M. Culbert, in Low Power Electronics, 1994. Digest of Technical Papers., IEEE Symposium, 1994.
- ^ a b c Acorn Group and Apple Computer Dedicate Joint Venture to Transform IT in UK Education, press release from Acorn Computers, 1996
- ^ ARM milestones, ARM website
- ^ ARM7500 Press Release, Advanced RISC Machines Ltd press release, 1994年10月18日
- ^ a b Cambridge Corners the Future in Networking, TUANZ Topics, Volume 05, No. 10, November 1995
- ^ Five Go Nuts in Cambridge, Wired UK magazine 2.09, September 1996
- ^ Acorn Looks to the Stars With New Galileo Operating System, Acorn Computer Group press release, 1997年2月10日
- ^ Acorn World '97 Transcripts
- ^ European Telecoms Brace for Change, Byte magazine, June 1997
- ^ Acorn renamed, refocused as Element 14, EE Times, 1999年1月14日
- ^ Element 14 BBQ
- ^ Element 14 snatches Alcatel DSL designers, Electronics Weekly, 2000年2月9日
- ^ Broadcom buys Element 14, Electronic News, 2000年10月9日
- ^ DRS Number 03682, Acorn Computers Limited and Roy Johnson, Nominet UK Dispute Resolution Service
- 1 エイコーン・コンピュータとは
- 2 エイコーン・コンピュータの概要
- 3 オリベッティ子会社時代(1985年–98年)
- 4 エイコーン解体(1998年-2000年)とその後の技術開発
- 5 エイコーンの商標の復活
- 6 参考文献
固有名詞の分類
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