ひねり飛車 ひねり飛車対策の発展

ひねり飛車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/24 08:23 UTC 版)

ひねり飛車対策の発展

△ 持ち駒 なし
987654321 
  
     
  
        
        
        
 
      
  

ひねり飛車が猛威を振るう中、後手が上記の局面を打破するための対策が立てられた。まず対策されたのは△3四歩省略である。△3四歩と突かなければ、△3三金の悪形にする必要もなく、玉が薄くならない。

このときに△3四歩がなくとも3六へ飛車を寄って角道をあけさせないようにして、▲7六歩の際に△8六歩の交換を強要する指し方もみられていく。これは、飛車を、△3三歩をに例えてネコ式縦歩取りと呼ばれた。ただし、金を三段目に上げないので後手の囲いも固くつくることができる。

1986年頃からの塚田スペシャルの流行を受け、1992年頃にそれを応用した指し方もみられた。[要出典] これは1筋の端歩▲1六歩・1四歩型+▲2六飛型を先にすることで(以前は攻撃態勢の▲9六歩を先にしていた)、後手が△6四歩などとすればすかさず▲2四歩と行く指し方で、以下△同歩▲同飛△6三銀なら▲1五歩△同歩▲1四歩の仕掛けが生じる。以降後手は▲2四歩を打たれるのを警戒する指し方が主流となっていった。[要出典]再度の▲2四歩は先手に一手損させる利点はあるものの、それよりも▲2四歩からの仕掛けが厳しいためである。本家の塚田スペシャルは決定的な対抗策が出てしまって廃れたが、ここにそれが受け継がれている。

しかしとにかく△3三金が不必要となって玉を固く囲えることとなり、先手の勝率を抑えられていったのは確かである。[要出典]

1999年に刊行された深浦康市がこれまでの研究をまとめた『これが最前線だ!』河出書房新社1999では、後手が「位は高く・玉は固く」をモットーにするのが最近のひねり飛車対策で、これにより先手ひねり飛車側も簡単に勝てなくなったとしている。

しかしながら、それに対して米長邦雄が考案した▲3七銀・5七金型などのさらなる対策が考案されたため、依然として多く指されたようである。

それから20年後の加藤一二三『一二三の玉手箱』2019では、近年ではプロ公式戦ではほとんど出なくなっている、プロであれば基本を知っていて手将棋になるからだとしている[9]。ただし、2019年現在でも少ないながら実戦例はあり若手棋士の島本亮大橋貴洸が独自のひねり飛車を考案している(後述)。また、角を従来の端角から7九~5七に転換し、持ち駒の歩をいかして▲9五歩から9筋の端を絡める指し方なども考案されて、従来とは違う指し方も試みられている。


  1. ^ Kawasaki, Tomohide (2013). HIDETCHI Japanese-English SHOGI Dictionary. Nekomado. p. 84. ISBN 9784905225089 
  2. ^ 末席幹事 (2018年12月7日). “ひねり飛車の歴史”. 将棋ペンクラブログ. 2019年9月14日閲覧。
  3. ^ 羽生善治『羽生の頭脳』第8巻「最新のヒネリ飛車」など。
  4. ^ 加藤治郎『復刻版 将棋の公式』東京書店、2001。原著は1967年刊行
  5. ^ 例を挙げれば近年の定跡書のスタンダード、羽生善治の『羽生の頭脳』第8巻「最新のヒネリ飛車」では、相掛かり腰掛銀や3七銀戦法と同じ巻で相掛かり戦法の一つとしてひねり飛車を扱っている。
  6. ^ 加藤一二三『一二三の玉手箱』第二章「加藤一二三のエッセイ」攻めと守りP142。光文社知恵の森文庫、2019
  7. ^ 塚田泰明監修、横田稔著『超急戦!殺しのテクニック』第一章相居飛車編P58。高橋書店、1988
  8. ^ 加藤一二三『一二三の玉手箱』第二章「加藤一二三のエッセイ 」攻めと守りP143。光文社知恵の森文庫、2019。加藤によれば古くは飛車交換が主流だったが、相手が応じなくなり▲7五歩石田流型が増えたという。深浦康市『これが最前線だ!』河出書房新社1999では、▲8六飛型もよくあるが▲7五歩はより無難な指し方だとしている。
  9. ^ 加藤一二三『一二三の玉手箱』第二章「加藤一二三のエッセイ」攻めと守りP143。光文社知恵の森文庫、2019。





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