えせ同和行為 主なえせ同和団体

えせ同和行為

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/12 16:30 UTC 版)

主なえせ同和団体

えせ同和団体の歴史は全国水平社の歴史と同じほど長い。全国水平社結成の翌年、1923年には、水平社への参加を拒まれた二川光春という男が「水平社東京府本部総理」「新水平社」を名乗って東京の東本願寺に質問書を送るなどの活動をおこない、また『水平運動の叫び』と題する私家版の書物を刊行し、水平社から糾弾を受けている[20]

今日、「日本」「全国」「全日本」などの語を冠し、「同和」「部落」「人権」「協議会」「連合会」「促進会」「協会」「研究会」「連盟」などの語と組み合わせて思いつく限りの名称を名乗るエセ同和団体が日本中に数多く存在する。その数は640以上とも言われている[21]。エセ同和団体の中には、部落解放同盟(解同)や自由同和会(同和会)、全国地域人権運動総連合(人権連)といった政府対応の同和団体と紛らわしい名称を用いたり、他のエセ行為(エセ北方領土返還運動や靖国、竹島問題)の書籍も不正に販売しているケースもある。

以下、刑事事件に発展し役員や元役員が摘発された団体を列挙する。
  • エス・ビー・ビー - 東京都北区、1980年設立。「政治経済研究会」「政治・経済研究会」「経済研究会」「北方領土問題審議会」「同和文献保存会」の名でも活動していた。えせ同和書籍のほか、えせ北方領土返還運動書籍をも販売。約3年間で約30億円を荒稼ぎしていた[22]。2010年、社長が幹部らと共に恐喝で逮捕され[22]、2011年に岡山地裁で懲役5年の実刑判決を受けた[23]2012年、破産[24]
  • 全国同和人権促進会 - 埼玉県川越市、または大阪府大阪市生野区。1997年に政治団体の届け出を出し、2006年に解散。上記の「同和文献保存会」から枝分かれした団体とされる[25][26]。「政治経済新改革連合会」(埼玉県川越市、または埼玉県ふじみ野市)の名でも活動していた。同和問題や北方領土に関する書籍を「街宣車を行かせたら迷惑だろう」などと脅しつつ5万円前後で押し売りし、約18億円の被害を出した[27]2007年、書籍販売会社「トラストジャパン」(広島市)の社長や書籍販売会社「ユニオンKA」(岡山市)の社長らが脱税や恐喝で逮捕。
  • 全国同和対策促進会 - 茨城県古河市。活動実態はなく、元市議の行政書士が非弁活動をおこなうにあたりハッタリで同和を詐称したもの[28]。元市議は2009年に弁護士法違反で逮捕された[28]
  • 全国同和部落協議会水平社 - 東京都新宿区2007年兵庫県川西市のゴミ処理場建設をめぐって「地元対策費」名目で現金を脅し取ろうとした幹部が恐喝未遂で逮捕された[29]
  • 同和事業統一協会 - 東京都台東区。静岡から秋田までの1都13県で「本を買う約束をしないと若い者をやる」などと脅し、約6000人に1冊6万円の高額書籍を押し売りし、3億9000万円を荒稼ぎしていた[30]。1999年、訪問販売法違反で4人が逮捕[30]

注釈

  1. ^ その後、2003年に日出は焼死体で発見されたが、自殺として片付けられた。川島町で燃えた車から焼死体。町議の可能性、行方探すを参照。

出典

  1. ^ a b c d 「えせ同和行為」を排除するために”. 法務省. 2012年4月3日閲覧。
  2. ^ 熊代昭彦『同和問題解決への展望』p.255
  3. ^ 平成20年中におけるえせ同和行為実態 把握のためのアンケート調査結果概要 平成21年3月 法務省人権擁護局
  4. ^ マリード[同和行政オブザーバー]2007年7月14日 えせ同和は何に支えられているか
  5. ^ エセ同和行為の源流とその罪(季刊報創刊号の要約)
  6. ^ 角岡伸彦『ピストルと荊冠』p.207
  7. ^ 「飛鳥会事件」に対する大阪府連見解
  8. ^ 地域改善対策啓発推進指針 昭和62年3月17日 総務庁長官官房地域改善対策室
  9. ^ 朝日新聞社会部『土地ころがし』p.268(葦書房、1982年)
  10. ^ 西岡智『荊冠の志操』
  11. ^ a b 『月刊 同和と在日』2011年3月号(第5号)
  12. ^ 森田益子『自力自闘の解放運動の軌跡』p.142(解放出版社、2012年)
  13. ^ えせ同和行為の実態と対処法
  14. ^ 日出和男除名処分取消訴訟 弁護団声明
  15. ^ 徳島県「解同王国」崩壊の第二章-民主勢力、県民のたたかいのさらなる前進を-村崎 勝利
  16. ^ a b c d 中原京三『追跡・えせ同和行為』p.106-110
  17. ^ 西郡ひとし事務所
  18. ^ 毎日新聞大分支局編『熱い叫び』51頁
  19. ^ えせ同和行為対応の手引
  20. ^ 朝治武『差別と反逆 平野小剣の生涯』p.142
  21. ^ 部落問題用語解説エセ同和 - 部落解放・人権研究所
  22. ^ a b 右翼・同和団体装い高額書籍を販売 会社元社長ら逮捕
  23. ^ 元出版社長ら実刑 高額書籍購入強要
  24. ^ 株式会社エス・ビー・ビーの破産情報 - 平成22年(フ)第5817号
  25. ^ 東京人権連 - えせ同和行為について
  26. ^ a b 『地域と人権』埼玉版『人権のひろば』Net版2007年3月号 No.314
  27. ^ 元社会党副委員長関与のえせ同和事件
  28. ^ a b ブログ管理に困難が。結城のえせ。
  29. ^ ゼネコンを恐喝未遂、2容疑者逮捕 兵庫のごみ処理巡り
  30. ^ a b 追跡その後II-四国新聞社
  31. ^ 部落差別を助長する「えせ同和行為」を許すな - 部落解放同盟中央本部
  32. ^ a b 2007/4/3 朝日新聞 民主議員の団体名借用 高額本押し売り 都内の出版社
  33. ^ 『グリコ・森永事件―最重要参考人M』


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