TVT I
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/25 16:45 UTC 版)
ドン・ランカスターはグッドイヤー・エアロスペース(英語版)社のエンジニアであり、『ポピュラーエレクトロニクス』誌や『ラジオ=エレクトロニクス』誌に趣味で作った電子工作の記事を多数執筆していた。仕事で軍用の高解像度ビデオディスプレイを設計していたとき、低コストのビデオ端末を作ることを思いついた。これが後にTVタイプライターと呼ばれる、彼の最も影響力のあった電子工作プロジェクトとなる。 この設計では、TTLデジタルロジックとシフトレジスタメモリを使用した。当時、マイクロプロセッサやRAMは新しく、非常に高価なものだった。業務用のビデオ端末が1000ドル以上する中で、このキットの材料費は合計で120ドルであり、ホビイストにも手が届くものだった。SWTPC社が、回路基板のみを27ドル、8つの主要な集積回路を49.50ドルで販売した。ホビイストは、残りの部品を自分で入手する必要があった。 R-E誌11月号では、TVタイプライターの小冊子を注文した数千人の読者への発送が遅れていることについて、編集者が謝罪した。また、入手困難な電子部品の入手先も紹介した。ランカスターは、読者からの一連の質問に答え、TVタイプライターの追加機能や用途についてのアイデアを提供した。12月号には、TVタイプライターの小冊子の正誤表が掲載された。11月号に掲載された電子部品の入手先と、12月号に掲載された正誤表は、それ以降に印刷された小冊子にも含まれていた。 設計はコンパクトで回路が複雑であるため、TVタイプライターはホビイストにとって挑戦的な電子工作プロジェクトだった。しかし、多くの人がこのプロジェクトを完成させ、中にはIntel 8008ベースのコンピュータに接続した人もいた。『Micro-8ニュースレター』1975年4月号には、TVタイプライターをMark-8やSCELBI(英語版)に接続するための改造法やインターフェイスの設計が6ページにわたって掲載されている。 オリジナルのTVタイプライターの設計には、シリアルインターフェイス、モデム接続、カセットテープへのデータ保存などは含まれていなかった。ランカスターは、『バイト』1975年9月号や著書『TVタイプライター・クックブック』でこれらのことについて書いている。R-E誌1975年2月号に、ロジャー・スミスが設計したシリアルインターフェイス・ボードが掲載されている。
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