PUVA療法とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > ヘルスケア > がん用語 > PUVA療法の意味・解説 

PUVA療法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 14:18 UTC 版)

PUVA療法(プバりょうほう)は、薬剤のソラレン(Psoralen)と長波長の紫外線(UVA、紫外線A波)を併用する光線療法である。皮膚疾患の治療に使う。ソラレンを外用するか内服するかの2種類の方法がある。最小光毒量の半分程度の紫外線から開始し、徐々に増量していく。

ナローバンドUVB療法は、紫外線B波の帯域を絞ったものでソラレンは使わない[1]。こうした光線療法ではPUVAよりもUVBが優先されることも多い[2][3]。このUVBについても記す。

適用疾患

皮膚科領域の多くの疾患が適応となる。

有効性

2012年の日本の尋常性白斑のガイドラインでも、光線療法を使う場合にはPUVAより治療効果に優れるとしてUVBが優先される[2]

乾癬ではステロイド外用薬ビタミンD外用薬は、軽症から中等症に対する治療の第一選択肢であり、それらが無効か重症では光線療法が考慮されるが、PUVAでは副作用と使用頻度の制限がありUVBが一般に用いられる[3]

2017年のレビューでは、白斑に対するナローバンドUVBの29研究が、PUVAの9研究が見つかり、軽度以上の改善を示したのはUVBで12か月後に75%、PUVAで12か月後に61.6%であった[4]。UVBの3か月時点と比べて、12か月時点で反応した人が約13%増加しているため、UVB療法が有効か否かの判定は少なくとも6か月時点まで待つ必要があることが分かった[4]

副作用

PUVAの主な副作用には、吐き気や[3]、重度の日焼け水疱色素沈着がある[1]。長期的には皮膚の悪性腫瘍の増加があり、効果的な治療だが使用頻度に制限が出てくる[3]。約400回、累積照射量1000J/cm2で発癌したという報告がある。

薬剤や病気が原因の光線過敏や、皮膚がんでは禁忌となる[1]

ナローバンドUVB療法

UVB(紫外線B波)を使う光線療法には、以下の2種類がある[3]

  • 広帯域UVB(波長 280 - 315 nm)
  • 狭帯域UVB(波長 311 nm、ナローバンドUVB療法)

紫外線の帯域を絞ったナローバンドUVB療法ではソラレンは使わない[1]

UVB療法では、一般に外来で週に2-3回通院することもあるが状況によっては外来では高額になることがあり、1970年代にはスウェーデンで家庭用UVB治療機器が使われるようになり、安全性の点での改良も進んできた[3]。望ましいピンク色と、紅斑や熱感とをの違いを学習する必要があり、熱傷や水疱が生じた際には医師の診察が必要となる[3]

KUVA療法

KUVA療法は、ソラレンより光毒性やDNA変異原性が少ないとされるケリンを使ったもので、ケリンにも肝機能障害やアレルギー反応の副作用があるため、さらにケリン誘導体が開発され用いられている。この治療法の発がん性のリスクは確定される必要がある。[5]

開発

1959年以降、UVAとソラレンの使用について、科学者と臨床医の間で情報交換するために6つ以上の皮膚科学会議でのテーマとなった。トーマス・B・フィッツパトリックは、国際会議を推進し、1988年には欧米や日本でPUVA療法が用いられるようになった。[6]

出典

  1. ^ a b c d Nestor M, Bucay V, Callender V et al (2014-3). “Polypodium leucotomos as an Adjunct Treatment of Pigmentary Disorders”. The Journal of clinical and aesthetic dermatology 7 (3): 13–17. PMC 3970827. PMID 24688621. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/24688621/. 
  2. ^ a b 日本皮膚科学会「尋常性白斑診療ガイドライン」『日本皮膚科学会雑誌』第122巻第7号、2012年、1725-1740頁、doi:10.14924/dermatol.122.1725 
  3. ^ a b c d e f g Bhutani T, Liao W (2010-8). “A Practical Approach to Home UVB Phototherapy for the Treatment of Generalized Psoriasis”. Practical dermatology 7 (2): 31–35. PMC 4151182. PMID 25191138. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/25191138/. 
  4. ^ a b Bae, Jung Min; Jung, Han Mi; Hong, Bo Young; et al (2017). “Phototherapy for Vitiligo”. JAMA Dermatology 153 (7): 666. doi:10.1001/jamadermatol.2017.0002. PMC 5817459. PMID 28355423. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5817459/. 
  5. ^ Gianfaldoni S, Wollina U, Tirant M et al (2018-1). “Herbal Compounds for the Treatment of Vitiligo: A Review”. Open access Macedonian journal of medical sciences 6 (1): 203–207. doi:10.3889/oamjms.2018.048. PMC 5816300. PMID 29484024. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/29484024/. 
  6. ^ Pathak, Madhu A. (2004). “In Memory of Thomas Bernhard Fitzpatrick”. Journal of Investigative Dermatology 122 (2): xx–xxiX. doi:10.1046/j.1523-1747.2003.22248.x. PMID 15009754. https://doi.org/10.1046/j.1523-1747.2003.22248.x. 

PUVA療法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 01:48 UTC 版)

円形脱毛症」の記事における「PUVA療法」の解説

PUVA療法は紫外線使った治療方法で、病巣部分にあてる事によって過剰化したリンパ球の抑制効果がある。入院治療ではステロイド内服の上、オクソラレン(メトキサレン、8-MOP)を内服し2時間後に紫外線全身照射させる方法メイン治療法としてよく使われており、外来では難し全身治療効果発揮する。現在、浜松医科大学順天堂大学中心に行われている。効果機序は、治療後末梢血組織調節性T細胞増加するとの学術論文がある。平成22年現在、オクソラレン錠(大正製薬)の市場への販売停止しており、内服PUVA療法が施行できない状況となっている。その原因として溶解性一定でないことによるとのことである。

※この「PUVA療法」の解説は、「円形脱毛症」の解説の一部です。
「PUVA療法」を含む「円形脱毛症」の記事については、「円形脱毛症」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「PUVA療法」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「PUVA療法」の関連用語

PUVA療法のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



PUVA療法のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
がん情報サイトがん情報サイト
Copyright ©2004-2024 Translational Research Informatics Center. All Rights Reserved.
財団法人先端医療振興財団 臨床研究情報センター
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのPUVA療法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの円形脱毛症 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS