C節:信用格付機関の規制の改善
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 09:00 UTC 版)
「ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法」の記事における「C節:信用格付機関の規制の改善」の解説
C節の制定は、信用格付のシステム上の重要性や、全国的に認知された統計格付組織(NRSRO)を含む信用格付機関の「ゲートキーパー」としての役割の重要性等を背景とするものである。 C 節は、先般の金融危機における信用格付機関の利益相反と信用格付の不正確さが金融機関および投資家のリスク・マネジメントの失敗に著しく寄与し、このた めに米国経済の健全性に悪影響が生じたことを、信用格付機関の説明責任および透明性の強化を必要とする要素として挙げている。 C節は、SECによる信用格付局(Office of Credit Ratings;OCR)の創設を命じており、OCRは、NRSROを監督し、これらに強化された規制を課すものとしている NRSROに対する強化された規制には、以下のものが含まれる。 NRSROは、信用格付の決定のための方針、手続およびメソドロジーの実施および遵守のための実効的な内部統制構造を形成し、維持し、エンフォースし、かつ、文書化しなければならない。 OCRに対して年次内部統制報告書を提出しなければならない。 SECによって定められた規則を遵守し、営業の考慮が当該NRSROの発する格付に影響しないようにしなければならない。 (1)利益相反防止のための一定の配置換え、(2)NRSROのコンプライアンス違反に関する苦情処理、および(3)特定された著しい過誤の利用者への通知に関する方針および手続が求められる。 コンプライアンス・オフィサーの俸給は当該NRSROの財務業績とリンクしていてはならない。 証券発行者の不法な行為について確かな主張を適切な当局に報告しなければならない。 発行者または引受人以外のソースによる発行者についての確かな情報であって格付決定に潜在的に重要なものは考慮しなければならない。 この法律により、コーポレート・ガバナンス、組織および利益相反管理についての指針が定められており、また、少なくとも2名の独立取締役が必要とされる。 Compensation of the compliance officer may not be linked to the financial performance of the NRSRO. C節は、SECに対して、証券の特定の種類についてNRSROの登録を一時的に停止しまたは永久に取り消す権限を与えており、これは、告知および聴聞を経たうえで、当該NRSROが信用格付を誠実に付すための資源を欠くという場合に認められる。 このほかの重要な規定として次のようなものがある。 SECは信用格付の手続およびメソドロジーに関して規則を定める。 OCRは各NRSROの検査を少なくとも年1回行い、検査報告書を公開しなければならない。 信用格付の業績の透明性を促進するため、SECはNRSROに対して当初の信用格付と変更後の信用格付について情報(用いた信用格付のメソドロジーおよび依拠したデータを含む。)を公開させ、利用者がNRSROを評価できるようにする。 さ らに、C節はSECに対してNRSROの独立性強化に関して検討することを求めるとともに、SECがその規則制定権限を用いて、信用格付と無関係なサー ビス(コンサルティングや助言などのサービス)の提供による不適切な利益相反を予防するための指針を制定することを勧告す。この法律は、合衆国会計検査官に対して、NRSROが報酬を得る代替的なビジネス・モデルの検討を行うことを求めている。
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