非暴力抵抗運動への貢献
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 02:02 UTC 版)
「ジーン・シャープ」の記事における「非暴力抵抗運動への貢献」の解説
ジーン・シャープは、「自分の考えは、マハトマ・ガンジーの影響を受けている」と述べている。 シャープは、市民の不服従に関する著作の中で、紛争中に権力を行使する手段としての非暴力運動について、政治的で実践的な分析を行っている。 シャープの鍵となる考えは、「権力は一枚岩盤のようなものではなく、また権力を持つ者の固有の性質に由来するものでもない」ということである。シャープから見て、いかなる国家の政治的権力も、どのような統治機構も、支配者の命令に対する国民の服従に由来するのである。いかなる権力機構も国民の服従に依存しているので、もし、国民が服従しないのであれば、支配者の権力は消滅するのである。 シャープの見方によれば、実効支配している全ての権力機構は、国民を服従させる仕組みを持っている。国家は、国民を服従させるために、非常に複雑な仕組みを持っている。こうした仕組みには、警察や裁判所などの強制機構や、エジプトのファラオの神や大統領の尊厳や倫理的な規範やタブーなどの文化的な仕組みがある。さらに、投獄や罰金や追放などの制裁や、身分や富や名声などの報酬も、国民の服従に影響を及ぼす。 シャープは、「こうした隠れた仕組みに気がつくことは、国家に変革をもたらす突破口になる」と考えている。シャープは、Etienne de La Boetie (1530-1563) の考えを引用して、次のように述べた。「もし、ある国の国民が、権力の源泉は国民自身に有って服従しないことも可能であることに気がつけば、支配者は権力を奪われることになる」。 シャープが、非暴力を勧めるのは、平和主義からではなく、戦術的な観点からである。「独裁政権側は、兵器、軍隊、秘密警察の全てを持ち合わせている。そんな状況下で武器を取るのは、敵の最強の道具で勝とうとするようなものだ」。 また、抵抗運動は、偶発的なものであってはならないと述べている。「独裁体制からの自由を達成するには、非常に慎重な考えと戦略計画が求められる」。「次のステップに進むためには、注意深く計算された行動が必要である」。
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