電磁波の観測と電磁波音の録音
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「電磁波音」の記事における「電磁波の観測と電磁波音の録音」の解説
理論を検証するため、火球にともなって超長波 (VLF) の電波が実際に放射される例があるのかが調査されたが、大きな火球自体まれな現象である上に電波の放射もまれだと思われるため、当初その例は多くなかった。 最初の例は1981年に日本の渡邉堯らによって確認され日本語の無線雑誌で報告された。 ペルセウス座流星群の −6 等の火球にともなっていたこの電波は 1/5 秒以下の短いパルス状のものであった。 またビーチらが1993年にのべ80時間流星群を観測した中では −10 等級の非常に明るかった火球1例だけで確認された。 その後、しし座流星群の観測などで多くの超長波の検出が報告されている。 一方、1998年にはクロアチアのヴィンコヴィッチ (Dejan Vinković) らのグループが、しし座流星群に合わせて電磁波の記録と電磁波音そのものの録音をモンゴルで試みた。 結果、−6.5 等と −12 等の2つの火球で音を聞き、初めてその録音に成功した。 音はいずれも「パン」という破裂的なものであり、250 Hz 以下の低い周波数を持っていた。 しかし同時に行われた 500 Hz 以上の電磁波の測定との相関はみられなかった。 ヴィンコヴィッチらはまた、電磁波音の問題を主題として初めて組織的に行った百件に近い調査結果を2002年に発表した。 それによると、音が現れるのはおよそ −2 等級の明るさの流星でもよく、これは理論が予測していたものよりずっと低い光度である。 さらに別の研究では、電磁波音をともなう人工衛星の落下で 10 Hz 以下の地磁気の変動が記録され、また流星群では数百 Hz 以下の電場の変動と電磁波音との相関が検出されるなど、現象への理解がまだ完全なものとはいえないことを示す観測結果もでている。 近年では、主にアマチュア天文家によって、高感度ビデオ観測とVLF観測とを組み合わせた観測が行われている。 また、取りわけ大きな爆発現象を伴った2013年のロシア・チェリャビンスク隕石の落下では、落下の様子を詳細に分析した国際共同研究の論文の中で電磁波音についても触れられた。 ここでは、火球が最も輝いているときに変圧器のうなりのような音を聞いた電気技師や、火球に目を向ける前に2機の戦闘機の轟音と思わせた音を聞いた運転手、フライパンを跳ねる油のようだったという物理学者の例が報告されている。 一方で、これら3人の中にはトランスデューサーとなりうるメガネをかけた人はいなかったといい、また、地元の電力会社では強力で短い低周波の電波(電磁パルス)で予想されるサージが発生した兆候は見られなかった。 インターネットで募った1674人の目撃情報では198人が火球と同時に音を聞いていた。
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