電力システム改革
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「一般送配電事業者」の記事における「電力システム改革」の解説
電気事業制度の転機となったのは、2011年(平成23年)3月の東日本大震災であった。東日本の多くの発電所が被災し、一時的に運転できなくなったため、電力危機が発生し、東京電力は輪番停電を実施した。この年の12月、経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会は、「新しい『エネルギー基本計画』策定に向けた論点整理」を公表した。同委員会は、論点整理の中で、「大規模集中電源に大きく依存した現行の電力システムの限界が明らかになった」という認識を示し、その上で、「リスク分散と効率性を確保する分散型の次世代システムを実現していく必要」があり、「送配電ネットワークの強化・広域化や送電部門の中立性の確保が重要な課題」であるという改革の方向性を打ち出した。 これを受けて、経済産業省は、2012年(平成24年)1月、総合資源エネルギー調査会総合部会の下に電力システム改革専門委員会を設置し、経済学者の伊藤元重を委員長に、大田弘子、八田達夫、松村敏弘らを委員に選んだ。委員会は、同年7月、「電力システム改革の基本方針」を発表した。委員会は、政権が民主党連立政権から自公連立政権に交代した後の翌年2月、最終的な報告書をまとめた。 委員会の報告書を受けて、2013年(平成25年)4月、第2次安倍内閣は、「電力システムに関する改革方針」を閣議決定した。この方針に沿って電気事業法の大改正を3回に分けて行うことになり、第1弾の改正は、同年秋の第185回国会(臨時会)で成立した。与党(自由民主党、公明党)のほか、民主党、日本維新の会、生活の党、社会民主党が賛成し、みんなの党と日本共産党は反対した。第2弾の改正は翌年の第186回国会(通常会)で成立し、第3弾の改正は翌々年の第189回国会(通常会)で成立した。 第2弾改正により、2016年(平成28年)4月、電力小売が全面的に自由化された。同時に、法の定める電気事業者の類型が一新された。発送配電一貫経営を前提とした一般電気事業者という類型は廃止され、発送電分離に適合する発電事業者、一般送配電事業者、小売電気事業者という類型が定められた。従来の一般電気事業者は、発電事業者 兼 一般送配電事業者 兼 小売電気事業者という位置付けになった。
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