追認の意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 16:37 UTC 版)
取り消し得る行為であっても、取消権者が追認(ついにん)すれば、行為は有効に確定し、以後取り消すことができない(122条)。追認は取消権の放棄にほかならない(通説)。 なお、旧122条では但書で「追認によって第三者の権利を害することはできない」と規定されており、これは民法起草者が二重売買などの場合において一方の取引が追認された場合には他方の売買における第三者は取得した権利を失うことになるという前提に立っていたものと理解されていたが、法解釈によれば追認がなされたとしても第三者との間の取引が当然に無効になるわけではないのであるから公示の原則に従って優劣関係は登記の具備の有無あるいは先後といった対抗問題として決すべきでありこの但書は無意味であるとされていた(通説)。そのため2017年の民法改正で但書は削除された(2020年4月施行予定)。 取り消すことができる行為の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない(124条1項)。例えば、制限行為能力者は行為能力者となった後、詐欺の場合は詐欺を知った後、強迫の場合は強迫行為が終わった後でなければならない。ただし、次に掲げる場合には、前項の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にすることを要しない(124条2項)。 法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をするとき。 制限行為能力者(成年被後見人を除く。)が法定代理人、保佐人又は補助人の同意を得て追認をするとき。 124条は2017年の民法改正で整理されている(2020年4月施行予定)。 追認は、取消権者(追認権者)から行為の相手方に対する意思表示によって行う(123条)。 なお、無権代理行為の追認(113条)については無権代理の項参照。
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