調性の海
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 23:58 UTC 版)
1980年代は武満がモダニズムから離れて調性感のある作品を書くようになった時期であり、『海へ』について武満自身は「半分ポピュラー音楽みたいな音楽」とも述べている。 この時期の武満は自作を説明する際に「調性の海」という言葉を用いており、『海へ』については「調性の海-Sea of tonality-の素描」と説明している。また「水の風景」シリーズについては「主題が様々な変奏を経て、調性の海を目指して進むような作品シリーズを書くことが作曲家の意図である」と述べている。 『海へ』が最終的にたどり着く和音は、変ロ短調と変ニ長調の響きを持つ「変ロ、変ニ、ヘ、変イ」という変ロ短調の七の和音(下の譜例。以下「B♭m7」)であり、楽曲はこのゴールの響きを目指して進行することになる。『武満徹の音楽』の著者であるピーター・バートは、武満がB♭m7の和音を『海へ』の全曲を通して登場させるとともに和声的な工夫を凝らすことにより、最後の和音への到達を注意深く準備していると指摘している。
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