課税問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 19:03 UTC 版)
現在一口馬主のシステムは、前述の通り商法上の匿名組合を二重に経由することで実現されている。しかし税務上の処理は一般的な匿名組合のものと異なる処理が行われており、その結果、 JRAが支払った賞金のうち、一般的な個人馬主の場合の源泉徴収分の税金(実効8%)及び、一口馬主クラブの手数料を引いた分が出資者に支払われる。本来なら匿名組合の源泉徴収率は20%であり、一口馬主では匿名組合を二重に経由していることから、一部では「手数料等を差し引いた出資者への配当はJRAが支払った額の6割程度になる」と言われたが、実際には元本の払い戻し部分には当然源泉課税されることはなく、また2段階の1段目は従来源泉徴収義務のなかった出資者が少数の場合の匿名組合契約でもあり、実際の配当がどうなるかは現段階では不明である。 JRAからクラブ法人へ支払われる賞金に対する源泉徴収分の税金について、最終的に配当を受けた出資者が個別に還付申告を行うことができる。このような匿名組合のパススルー会計については長く一般的に認められてきたものの、比較的最近になって国税当局がそれを否認する立場を明確化した。クラブ法人に賞金が支払われた時点で関係が切断されると考えられるため、今後はクラブ法人が支払った税金を出資者が還付申告することは認められなくなると推測される。上述の匿名組合にかかわる源泉税が導入された場合は、出資者による還付申告の対象となる。 複数の馬に出資している場合、個々の馬に関する収入及び費用、損失について損益通算を行うことができる。上述のパススルー会計が認められない場合、馬ごとに個別にファンドが形成され各ファンドの損失はファンドの終了により確定されるという考え方のため、馬が引退した場合に限り当該馬に係わる損失を他馬ファンドなど他の雑所得と損益通算を行うことができる。 といったことが認められていた。 これに対し2006年に国税庁が「クラブ法人・愛馬会法人も匿名組合にかかわる法令や通達に沿う形で税務処理を行うようにすべき」との方針を打ち出したことから、社台グループなど一部の愛馬会では「JRAは匿名組合ではなく任意組合形式での一口馬主の運営を認めるべき」との主張を行うようになった(任意組合であれば前記のような税務処理(いわゆるパススルー会計)も認められるため)。しかしJRAは「一口馬主として任意組合形式を認めることは、実質的な名義貸しにつながるため認められない」との方針を一貫して保持しており、匿名組合として今後税務処理をどのような形で行うかも含めて、2007年現在もJRAとクラブ法人の間で協議が続けられている。
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