総合衛生管理製造過程とは? わかりやすく解説

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総合衛生管理製造過程

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/04 08:59 UTC 版)

総合衛生管理製造過程(そうごうえいせいかんりせいぞうかてい、通称:マルソウ、マル総、丸総)とは、厚生省HACCPの考え方を取り入れて作った食品の安全管理の認証制度である。


  1. ^ ジェネリックモデル: 製品ごとに決まったハザードに対して決まった必須管理点を用いるジェネリックモデルと呼ばれる手法は、中小零細企業のHACCP 導入の第一歩として有効でありHACCP 普及には役に立つが、あくまで自ら危害要因分析とそれに基づく必須管理点の設定のできるようになるまでの暫定的なものである。
  2. ^ 品質と安全 : 安全性は品質の中に含まれると考える人がいるが、実際は相反する場合も多く別のものと考える方がよい。海外では品質と安全は別部門で管理している場合がある(大規模な企業が多い)。HACCP を行うと品質が向上する場合もあるが、これは効率の良い管理を行った結果として生じた副産物でありHACCP で扱うものはあくまでも安全性である。(HACCP で扱うハザードはB (生物的)、C(化学的)、P(物理的)ハザードであるが、総合衛生管理製造過程のハザードにはQ(品質)というものが含まれている)
  3. ^ PRP あるいはPP(Prerequisite program 前提条件プログラム) : HACCP を行う上で土台となる基礎的な管理プログラムであり「一般衛生管理」という言われ方をすることもある。ここでは前出のGMP に基づいた教育訓練や、清浄化・衛生化作業のプログラムなどの他にリコールプログラム、トレーサビリティー、品質管理なども管理項目に入れられる。また、HACCP はラインごとに計画するものだがPRP は工場全体で同じ計画を用いる。PRP とHACCP はお互いに影響しあうものだが、その性格が異なるため別々のプログラムで管理するものである。(これを同じプログラムで管理しているのが総合衛生管理製造過程)
  4. ^ GMPGood Manufacturing Practice 適正製造基準):HACCP の前段階である前提条件プログラム (PRP) の中心となる基準。合衆国では法規制として定められている。GMP のありかたは国により多少異なり、カナダではGMP=PRP となっているが、合衆国ではGMP に基づきPRP を構築するものとされている。また医薬品の製造においては各国で必須として法制化されており、日本では医薬品医療機器等法による。
  5. ^ 認証制度と法規制 : 認証制度に関しては「認証を受けた次の日から実行しない」ということが可能であり、認証制度には意味がないという批判がある。しかし認証は働いている人間にとっては励みになる側面もあり、また、正しいガイドラインがあればこれを遵守して、結果として認証が取れるのであれば認証制度自体は悪くないとする意見もある。しかし、認証を取得する事に主眼がおかれると、本来の目的である「消費者の安全を守る」という部分が見失われがちになる。また、合衆国のように法規制としてのHACCP を扱っている場合も「科学的な基準より法規制が優先される」という批判もある。しかし、合衆国においてはHACCP の法規制は国、企業、消費者にとってプラスであったとされている。
  6. ^ HACCP と施設 : 本文中でも述べたが、海外では築40年以上の工場でHACCP を行い優れた製品を製造している現状がある。これらの工場では必要な部分を改修してあとは人的な方法(例えば洗浄のプログラムや搬入の手順、材料と製品や機器の配置の工夫など)で工場の衛生状態を保っている場合が多い。また、過度な施設の改修は企業にとって大きな金銭的な圧迫となり、結果として安全性にかける予算が不足するという本末転倒な状態が生まれかねない。そのため経営者には施設の改修と人的な力のバランスを上手く考えて資金を投入する感覚が要求される。蛇足ながら、現在あるHACCP 対応工場と呼ばれる施設が本当にHACCP を行うのに適しているかは定かではない事を付け加える。HACCP と施設について


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総合衛生管理製造過程

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 16:09 UTC 版)

HACCP」の記事における「総合衛生管理製造過程」の解説

厚生労働省認証制度である「総合衛生管理製造過程」(通称マルソウ)はHACCP考え方取り入れた制度である。しかし本来HACCP では個々ライン毎のハザード分析によってハザード決定するのであるが、総合衛生管理製造過程では、あらかじめ決められ危害リストのみをハザードとしている(他の工場ラインで既にHACCP 計画確立している製品についてはそれを基にHACCP 計画をたてる方法がある、ただしこれは自ら危害要因分析ができるまでの暫定的なのである)。 また本来HACCPで扱うのは安全性であるが、厚生労働省は総合衛生管理製造過程で扱う項目に「品質」まで含めており、HACCPを行う前段階である「前提条件プログラム (prerequisite program; PP) 」や「適正製造基準 (GMP) 」まで含んでいるため、煩雑なシステムできあがっている。 この煩雑さのため、手間予算がかかり、大企業でも実践難しく、かつて乳業メーカーで総合衛生管理製造過程の認証得た雪印乳業が、大規模な黄色ブドウ球菌エンテロトキシン嘔吐胃腸症状をおこす毒素)の食中毒事件雪印集団食中毒事件)を発生させた。このようなことから、総合衛生管理製造過程はそのままHACCP呼べるものではない。 企業側も総合衛生管理製造過程は認証であることから「HACCPを取る」という言い方よくするが、HACCP とは認証を取ることではなくHACCP実践する行為である。そして、認証取得にばかり目を向けることは、時として消費者の安全を守る」という食の安全本質見失う危険性もある。

※この「総合衛生管理製造過程」の解説は、「HACCP」の解説の一部です。
「総合衛生管理製造過程」を含む「HACCP」の記事については、「HACCP」の概要を参照ください。

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