第4巻 反抗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 04:10 UTC 版)
既存の音楽に嘘を感じたクリストフは行動を始める。その嘘は彼が最も大事にしている作品の中にもあった。クリストフはその誠実さから、巨匠たちの音楽を公然と批判しだす。そんな時、クリストフの新作の演奏会が行われる。その音楽は斬新なものだった。演奏家は戸惑い、聴衆は呆然とする。歌曲では歌手が音楽を全く理解できず自己流に歌い出す。クリストフは演奏を止め、もう一度最初から歌わせる。これによりクリストフは完全に聴衆を敵に回してしまう。そんな中、クリストフはたまたまフランス人一座の「ハムレット」の券を手に入れ、あまり気乗りしなかったが劇場に出向くと、劇場の前でうろうろしている女性がいた。その女性はフランスから来た家庭教師で母国語を聞きたくて来ていたのだった。クリストフは親切心から一緒に観ないかと誘い、一緒に劇を観ることになったが、それが小さな町で噂となり家庭教師の職を失うことになってしまった。この家庭教師こそ、後に終生の友となるオリヴィエ・ジャナンの姉、アントワネットであった。 クリストフは言論の場を求めて社会主義の新聞に文章を投稿してしまう。そのことが大公の怒りを買ってしまう。もう誰もクリストフを守る者はいなくなった。そんな中、クリストフの作品が試演にかけられる。でたらめな演奏で聴衆は沸き立つ。演奏が終了したときに指揮者は「楽匠ブラームスを批判する人間を見せしめにしたのだ」と言って指揮台を離れる。さらに小都会の人々の意地悪さから最後の友人まで奪われる。クリストフは窒息しそうだった。 そんな時、子供の頃に一度だけ会ったことがある大音楽家のハスラーに会おうと思い立つ。彼なら自分の作品と生活を理解してくれると信じて。クリストフは早速ハスラーに会いにベルリンへ赴くが、彼はかつてのハスラーではなく、クリストフの話を聞いても皮肉な一言を発するだけだった。しかし、クリストフが自分の作品を弾き出すと一転して驚く。そこに真の独創的な個性を聴き取ったからだった。だがクリストフのある言葉を聞いて我に返り、また皮肉的な態度に戻ってしまう。 クリストフは失望して、ベルリンを一刻も早く離れようとするが、駅である地名が目に入る。それはクリストフに熱烈な手紙を送ったシュルツ老人のいる町だった。クリストフはシュルツに会いに行き、心のこもった歓迎を受ける。晴れ晴れとした気持ちで帰途に就いたクリストフは、偶然にもゴットフリート叔父が死の直前に立ち寄った家に宿泊する。 家に戻ったクリストフを待っていたのは、ドイツを追われるという運命だった。母親の反対を押し切って故郷を出ようとしていたクリストフは、一度は母の情に負けて出国を諦めるが、駐屯していた軍隊との衝突に巻き込まれ、パリへと亡命することになる。
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