渋谷店の開業
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1978年(昭和53年)9月、東京都渋谷区宇田川町に旗艦店となる渋谷店を開店。東急ハンズの特徴であるワンフロアごとに同系統の商品を展開する店舗形態は、渋谷店に起源を持つ。もともと渋谷店の敷地(1973年まで、現在は目黒区五本木にある日本聖公会聖パウロ教会があった)は、東急不動産が長年所有していた土地であったが、オルガン坂と呼ばれる坂道に面した狭い区画で、一般的な業態の店舗のビルが建てにくい状態であった。この傾斜地を逆に利用し、周囲の道路の高さに店の出入口を合わせて3種類のフロア高さを設定(スキップフロア)し、「A」「B」「C」のアルファベットの併用で各階を表示(「6B」=「6階Bフロア」等)するとともに、各フロア間を階段が回廊状に結ぶ構造とした。この工夫によって、小規模なフロアごとに1つの分野の商品群を展開するとともに、1つのフロアから他のフロアへ見通しを持たせることで来店者の期待感を高め、回遊を促すフロア構成となっている。 それまでは見たことはあっても、入手方法さえわからなかったような工芸用道工具類や金属材料・樹脂材料などが、「場違い」と言える都会の商業地で小ぎれいな店頭に並べられ、適量に小分けして販売される様子は一種のカルチャーショックを与え、東急ハンズ渋谷店は渋谷の新名所として知られるようになった。 東急ハンズのこうした販売スタイルは、郊外型ホームセンターなどが個人向けの品揃えを重視する先陣を切ることとなった。また東急ハンズの成功を受けて1980年代には、旧セゾングループ(現:そごう・西武子会社)のロフトが1987年に渋谷(西武百貨店渋谷店の隣)に出店、1985年には京王グループの京王アートマンが会社設立(1号店出店は翌1986年の聖蹟桜ヶ丘店)。その後、1999年には西鉄グループのインキューブが天神店を開業するなど、東急ハンズの業態に影響された大型雑貨店チェーンが誕生する契機となった。
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