派川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 23:29 UTC 版)
派川(はせん、英語:distributary)は、川が海に出る前に、本流から分かれてゆく川のことをさす。俗に分流(ぶんりゅう)とも呼ぶ。 多くの場合、河口で三角州(デルタ)を形成している。また、分岐した川が再度本流に合流し、中州を作ることもある。派川が発生すること、および派川が分岐する地点を河川分岐、分岐点、分流点、分派点、分派口と呼ぶ。派川の反対は支川(本流に集まってくる川)あるいは本川である。 派川はしばしば、本流沿いの町を洪水から守るため、人工的に造られることもある。こうした派川は放水路と呼ばれている。 派川が本川に変わってしまうような例もある。ミシシッピ川河口では多くの派川がデルタを形成しているが、その中にミシシッピ川が海に向かって東へ流れを変える地点で、まっすぐ南のメキシコ湾方向へ分岐するアチャファラヤ川(Atchafalaya)がある。この川はミシシッピ川から多くの水量を奪い、本川以上に急勾配の流路となってミシシッピ川より大きくなりつつある。これはミシシッピ川の港であるニューオーリンズにとっては、川を流れる水が減って港湾機能の低下につながる大きな問題であるため、アチャファラヤ川への水量を調整するダム(『Old River Control Structure』)が建設され、ミシシッピ川が小さくなることには歯止めがかけられた。 南米にはカシキアレ川(Casiquiare)というオリノコ川上流で分岐する派川があるが、世界最大の「天然運河」として知られている。オリノコ川から分かれたカシキアレ川はアマゾンの熱帯雨林を流れアマゾン川支川のネグロ川に注ぎ込むが、これによってオリノコ川水系とアマゾン川水系が結ばれている。二つの水系を結ぶ河川としては世界最大である。よって厳密にはオリノコ川水系はアマゾン川水系の一部である。 その他、世界の大きな派川には、ライン川下流の3つの主要な派川、アイセル川(IJssel、旧ゾイデル海、現アイセル湖に流入)、ワール川(Waal、ロッテルダム港とドイツを結ぶ河川交通の要路であり、ライン川の水量の3分の2を海に流す)、ネーダーライン川(下ライン川、Nederrijn、Lower Rhine)がある。またインド南部のカーヴィリ川の派川・コッリダム川(Kollidam)、ガンジス川の派川で大都市コルカタを流れるフグリー川(Hoogli)などは有名である。
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