氷の上で
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/03 02:21 UTC 版)
「ハリー・マクニッシュ」の記事における「氷の上で」の解説
氷の上で乗組員がキャンプしている間にマクニッシュが見張り当番に立ったとき、氷の一部が割れて行き、次の当番の者が素早くマクニッシュに紐を投げて安全な所まで飛び戻ることができるようにしたので、やっとのことで救われたことがあった。シャクルトンは、翌日氷の別の裂け目が現れた後で、マクニッシュが辛うじて救われたと静かに語っていたと報告していた。マクニッシュが船に連れて来ていた猫の「ミセズ・チッピー」は、エンデュアランスが失われた後で、その後の厳しい条件を生き残れないことが明らかだったので、銃で殺すしかなかった。その命令を出したシャクルトンを、マクニッシュが許したことは無かった。 マクニッシュは船の破片からより小さな船を建造することを提案したが、その提案は却下され、その代わりにシャクルトンが、船の救命ボート3隻を引っ張って、開けた海まで向かうことに決めた。マクニッシュは航海が始まるほぼ直前から痔とホームシックを患っており、船が失われてしまうと、その憤懣が大きくなった。同じテントで寝る隊員の言葉を標的にして、その日記ではけ口を見つけていた。 私は帆船でも蒸気船でもあらゆる種類の人々と同船してきたが、この隊のような者は居なかった。汚い言葉が親愛の表現として使われ、しかもそれが受け入れられている。 マクニッシュは氷の上を橇を曳いて歩く大きな苦痛の中で、ハーネスを曳く自分の順番を拒否してフランク・ワースリーに抗議することで、簡潔に反乱を起こした。エンデュアランスが破壊されて以来、乗組員がもはや命令に従う義務はなかった。この問題をシャクルトンがどう処理したかについては様々な証言がある。ある者はマクニッシュを射殺すると脅したと言っており、またある者はシャクルトンが船の契約書を読み上げ、港に着くまで乗組員はその義務の下にあることを明確にしたと言っている。マクニッシュの主張は通常なら正しかった。船が失われたときに主人に対する任務は通常無くなるが、エンデュアランスのために乗組員が署名した契約書には、「船上、ボートあるいは陸上でも主人あるいは船首の指示に従って任務を遂行する」という特別条項があった。これを抜きにしても、マクニッシュには従うしか実際的選択肢が無かった。一人だけでは生存できず、命令に従わなければ、他の隊員と共に居続けることもできなかった。最終的にシャクルトンは、ボートを曳くという試みが誤りだったと判断し、唯一の解決法は氷が融けて海が開けるのを待つということになった。 物資が不足し始め、隊員は飢えるようになった。マクニッシュはタバコを喫って飢えの苦しみを和らげるようにしており、犬達を撃ち殺すのは恐ろしく悲しいことだと考えたが、「その肉がご馳走だ。アザラシの肉を食べてから長く経って、それは大きなご馳走だ」と言って、肉を食べれば幸福だろうと記録していた。 隊員のキャンプしていた氷が叢氷の外れ近くになって来たときに、シャクルトンは3隻の救命ボート、ジェイムズ・ケアード号、スタンコーム・ウィルズ号、ダドリー・ドッカー号でまずエレファント島に向かうと判断した。マクニッシュは開けた海で長く航海できるように、ボートに最善の準備をしていた。両舷に板を追加して乾舷を高くするようにしていた。
※この「氷の上で」の解説は、「ハリー・マクニッシュ」の解説の一部です。
「氷の上で」を含む「ハリー・マクニッシュ」の記事については、「ハリー・マクニッシュ」の概要を参照ください。
- 氷の上でのページへのリンク