文化における表現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 09:30 UTC 版)
黄砂は、古くより詩、句、歌などの表現に取り入れられている。 春によく見られる春霞やそれが夜の月を霞ませる朧月夜には、黄砂が(すべてではないが)影響している。「春霞」や、黄砂の古名である「霾」(つちふる)のほかに、「霾曇」(よなぐもり)、「霾晦」(よなぐもり)、「霾風」(ばいふう)、「霾天」(ばいてん)、「黄塵万丈」、「蒙古風」、「つちかぜ」、「つちぐもり」、「よなぼこり」、「胡沙」(こさ)など、黄砂に関する言葉は多数ある。現代では、「黄砂」自体も歌や句に用いられる。いずれも春の季語である。 古いものでは、殷の時代に用いられた甲骨文字に「霾」を含む記述が発見されており、現在でいう黄砂のことを示していたと解釈されている。 「巳入風磴霾雲端(すでに風磴<ふうとう>に入<い>りて雲端<うんたん>に霾<つちふ>る)」は、杜甫が七言律詩『鄭駙馬宅宴洞中』の中で、雲の端から砂塵交じりの風が吹いてくる様を表したものだとされている。この節の「霾雲端」は松尾芭蕉が『奥の細道』でも引用しており、岩手の里から最上の庄へ行く途中の山中での心細さを表現するのに用いている。加藤楸邨、中村汀女、水原秋桜子、有馬朗人、富安風生なども黄砂や霾などを扱った俳句を残している。 「黄砂」や黄砂に関する言葉をタイトルにした作品も多数ある。 『霾』(詩集『春の岬』収録) 創元社 1939年 三好達治、1939年、詩集 『黄砂哭く谷』 生田直親、1981年、小説 ISBN 978-4-19-568808-3 『黄砂の刻』 伊藤桂一、1985年、詩集 ASIN B000J7MCI2 『黄砂の冠を戴くもの-アルドナの翼』 横手美智子、1994年、漫画 ISBN 978-4-8291-2580-9 『黄砂と桜』 安西篤子、2001年、小説 ISBN 978-4-19-861294-8 『黄砂に吹かれて』 工藤静香、1989年、CDシングル 『オユンナII黄砂』 オユンナ、1992年、CDアルバム 『黄砂』 楊興新、1995年、CDアルバム 『火舞黄沙』 無綫電視、2006年、テレビドラマ
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