杜甫とは? わかりやすく解説

と‐ほ【杜甫】

読み方:とほ

[712〜770中国盛唐期の詩人。鞏(きょう)県(河南省)の人。字(あざな)は子美(しび)。少陵と号し杜工部、老とも呼ばれる青年時代から各地放浪湖南省湘江付近不遇の一生終えた現実社会人間直視し、誠実・雄渾な詩を作り律詩完成者で詩聖称され詩仙呼ばれる李白と並ぶ唐代代表的詩人とされる。「兵車行」「春望」などは有名。


杜甫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/15 20:44 UTC 版)

杜 甫(と ほ、簡体字: 杜 甫; 拼音: Dù Fǔ; ウェード式: Tu⁴ Fu³712年先天元年) - 770年大暦5年)は、中国盛唐詩人子美少陵野老、別号は杜陵野老、または杜陵布衣。「杜少陵」「杜工部(検校工部員外郎)」「杜拾遺(左拾遺)」とも呼ばれる。杜預の末裔。律詩の表現を大成させた。幼少の頃から詩文の才能があり、李白と並ぶ中国文学史上最高の詩人として、李白の「詩仙」に対して、「詩聖」[1]と呼ばれている。また晩唐期の詩人の杜牧の「小杜」に対し「老杜」「大杜」と呼ばれることもある。


注釈

  1. ^ 唐代の杜審言・李嶠・崔融・蘇味道のこと。なお、「文章四友」という言葉は唐書の杜審言伝に見える。
  2. ^ 開元5年とする説もある[要出典]
  3. ^ 「新安吏」「潼関吏」「石壕吏」「新婚別」「垂老別」「無家別」の六種の詩をまとめていう。
  4. ^ 毎年1冊春に発行している。

出典

  1. ^ 後藤秋正「杜甫はいつから「詩聖」になったか」『札幌国語研究』第22巻、北海道教育大学国語国文学会・札幌、2017年、59-66頁、doi:10.32150/00007530ISSN 1342-6869CRID 1390576302827174656 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 目加田誠『杜甫 漢詩大系 第9巻』集英社、1968年。 
  3. ^ 植木久行『唐詩物語 : 名詩誕生の虚と実と』大修館書店〈あじあブックス〉、2002年、73-99頁。ISBN 4469231800全国書誌番号:20274372https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003628613-00 
  4. ^ 黒川洋一『『杜甫』鑑賞中国の古典第17巻』角川書店、1987年、14頁。 
  5. ^ 『吉川幸次郎全集第十二巻「杜甫について」』筑摩書房、1968年。 
  6. ^ 松原朗『杜甫と玄宗皇帝の時代「杜甫と『文選』(大橋賢一)」』勉誠出版、2018年、202-214頁。 
  7. ^ 元稹「唐故工部員外郎杜君暮係銘」序
  8. ^ 韓愈「調張籍」
  9. ^ 劉攽『中山詩話』「楊大年、不喜杜工部詩、謂為村夫子。」
  10. ^ 太田青丘『芭蕉と杜甫』(教養選書・法政大学出版局、のち「著作選集 第2巻」おうふう)
  11. ^ a b 吉川幸次郎『『吉川幸次郎全集』第十二巻「芭蕉と杜甫」』筑摩書房、1970年、710頁。 
  12. ^ 小宮豊隆校訂、文暁『花屋日記 芭蕉臨終記』岩波文庫、新装復刊2017年
  13. ^ 黒川洋一『杜甫 下 中国詩人選集 10』岩波書店、1959年、10頁。 『杜甫 上 中国詩人選集 10』岩波書店、1957年。 
  14. ^ 黒川洋一『杜甫 ビギナーズ・クラシックス』角川学芸出版、2012年、14頁。 
  15. ^ 吉川幸次郎『杜甫詩注 第1冊』岩波書店、2012年。 
  16. ^ 近藤春雄『中国学芸大事典』大修館書店、1992年、600頁。 


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杜甫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 20:57 UTC 版)

岳陽楼」の記事における「杜甫」の解説

杜甫が最晩年戦乱荒廃した長江流域さすらう中で岳陽訪れ768年大暦3年)の暮れ詠んだのが、この極めて精錬度の高い五言律詩『登岳陽樓』(岳陽楼登る)である。 登岳陽樓昔聞洞庭聞く 洞庭の 昔から洞庭湖素晴らし景色を話には聞いていたが 今上岳陽樓 今上岳陽楼 いままさに岳陽楼に登っている 呉東南坼 呉(ごそ) 東南に坼(さ)け 呉とは、この湖によって東と南に引き裂かれ 乾坤日夜乾坤けんこん日夜浮かぶ 天と地が、果て無く広がる水面日夜浮かんでいる 親朋一字 親朋(しんほう) 一字無く 家族友人から一通便り無く 老病孤舟 老病 孤舟こしゅう有り 老いて病気がち我が身には、一艘の舟だけが頼り戎馬關山戎馬じゅうば関山北 関山の北では、戦乱続いている 憑軒涕泗流 軒(けん)に憑(よ)って涕泗(ていし)流るにもたれ故郷を思うと、涙が流れてくるばかりだ 『唐詩選』にも収められたこの詩に対す賞賛数多くかねてより古今絶唱称される例えば宋の唐庚(中国語版)は『唐子西文録』で「子美の詩は四十字のみ。気象閎放、涵蓄深遠にして、殆ど洞庭と雄を争ふ。いはゆる富めるかな言や、といふ者なり。〔太白、〔韓〕退之の輩、率(おおむ)ね大篇を為(つく)るも、終に逮(およ)ばざるなり」と絶賛している。

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