持ち時間と戦略
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 04:55 UTC 版)
持ち時間が足りなくなってくると、対局者の思考は時間不足や焦りなどからしばしば乱れ、それによって勝敗が逆転してしまうケースは、プロ同士であっても珍しくない。考え出せばキリがない局面では時間を使わずに局面の知識や勘で着手し、時間を使えば優位を得ることができそうな局面や勝負所でのみ時間を投入するというような時間配分戦略も、持ち時間ありの対局では必要になることがある。 また、相手方が自身の着手を考えている時間にも自身の着手を考えておくことや、秒読みにおいては自身の着手が決まってもギリギリまで着手せずに先を読むことも、時間節約のために有用な技術である。 秒読み対局では、相手に特定の応手を強制する着手で考慮する時間をキープする「時間つなぎ」も、しばしば行われる。ただし、ほんのわずかな局面のずれが勝敗に直結する将棋・チェスでは無意味な時間つなぎが即負けにつながるケースが多く、めったなことでは行えない(千日手になる状態を利用することで、局面に影響させず行うことは可能)。囲碁では比較的時間つなぎのリスクは少ないが、コウ材を使ってしまうために不利をもたらす可能性がある。 他方で、あえて時間を使い切り、自身を秒読みに追い込むことで集中力を保つことができるという面もあり、各人にあった時間戦略が必要となる。 ただし、特に囲碁において相手方の持ち時間を切らせるために故意に終局に同意しない行為はマナー違反とされている。大会によっては審判権限で形勢判断の上で時間切れの側に勝ちを認めるなどの対応がとられるケースもあり、持ち時間戦略にも節度が求められている。チェスにおいても相手が自分をチェックメイトできる戦力がない状態での時間切れは負けではなく引き分けとなる。
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