少年事件における指名手配と実名公開をめぐる議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 16:15 UTC 版)
「指名手配」の記事における「少年事件における指名手配と実名公開をめぐる議論」の解説
未成年の被疑者に対して指名手配を行った場合には、少年法の趣旨によって、警察が被疑者の氏名や顔写真を一般人に公表することは原則としていない。ただし、凶悪事件で公開しなければ再犯のおそれがある場合など(1968年に発生した警察庁広域重要指定108号事件の永山則夫など)は、実名と写真が公開されている。2003年に少年であっても例外的に公開を認める警察庁の通達が出されているが、現在でも適用例はない(警察庁HP上には、この通達は公開されていない)。少年の刑事事件の実名や顔写真の報道を禁止する少年法61条の規定など、犯罪を行った少年の処遇の妥当性については議論がある。一部の出版社からは、重大な少年犯罪をあえて実名報道する動きもある。少年犯罪の指名手配の例としては、山口女子高専生殺害事件が上げられる。2006年8月28日に同校の女子学生が校内で絞殺死体として発見され、同校に通う19歳の少年が事件の重要参考人として挙げられ、女子学生死亡後に失踪していたことから事件発覚の翌日の8月29日に指名手配となった。この際に上記の規定により実名や顔写真の掲載は伏せられたものの、殺人を行った可能性があるとして指名手配されている人物のため実名や顔写真を公開すべきとの意見が多数マスコミに寄せられ、9月7日には週刊新潮により第2の被害を防ぐとの理由により、実名と顔写真が掲載された。しかし、同日になりこの少年が8月29日に自殺していることがわかり、未成年の指名手配に対する報道に対し実名など公開するべき・するべきではないといった議論が大きくなった。
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