小穂について
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この類の小穂は数個の小花を含む。その内の一番下の小花は雄性で、他は両性。小花の基部にはわずかに柄の様になっていて、ここから綿毛が多数伸びる。果実が熟したときには小花ごとに脱落し、花柄には包穎だけが残る。ツルヨシの場合、包穎が最下の小花の護穎の半分かそれをやや超える点で、半分に達しないヨシと区別される。
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小穂について
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イネ科やカヤツリグサ科において、花序を構成する単位を小穂と言う。一般には複数の鱗片が重なり、その間に花を収めるものであるが、単に鱗片が重なった穂であれば小穂というわけではない。もっと具体的な構造に基づくものであり、また、それは属などの分類における重要な特徴とされる。 たとえば、同じように球形にまとまった穂を軸の先端につけるものでも、アオテンツキのそれは全体がひとつの小穂であるのに対して、ヒメクグの場合、小穂は小さな針状の構造で、丸い穂は、それが多数集まったものである。 一般にカヤツリグサ科の小穂では、一枚の鱗片の内側に一個の小花があるものが単位となり、それが複数集まるのが普通で、個々の花の構成要素としては、雄蘂と雌蘂、それに花被片に由来する構造が付属するという程度で、より多くの鱗片を含む例は少ない。それを含めて、この属の小穂をどう見るかには議論がある。 現在日本で目にする図鑑の多くでは、丸く固まった穂の全体を、ひとつの小穂と見なす記述となっている。これは、この分野の日本の大家である大井次三郎がこの説を支持していることによるらしい。その中にも二説があり、その一つは、この類をスゲガヤに近縁と見て、内側の二片の鱗片を、現在ある小花の基部にあった二つの退化した花の鱗片に由来すると見るもの。もう一つは、ホタルイ属に近縁と見て、この二枚を花被片に由来する構造物と見るものである。 これに対して、小山はむしろ小花一個を含む単位こそが小穂だとの説を出している。それによると、外側の鱗片は小穂の基部にあったもので、その内側に花が二個あり、それぞれ鱗片に包まれた構造から、下側の花のみが退化したと考えるのが適当だという。これは、ヒメクグの例によく似ている。ヒメクグでは完全な花は一つしか含まないが、退化した花の鱗片がさらに多く、それがより退化した形と見ることも出来る。さらにこの類はC4植物であることが知られており、そのような点でも、ヒメクグ類との類縁が考えられるとする。 また、熱帯地方には同様に小花に鱗片的構造を含む属が幾つかあり、それらをまとめてヒンジガヤツリ族とすることも主張している。 このような従来からの議論に対して、カヤツリグサ属を含む分子系統の解析から本属は多系統であり、しかもカヤツリグサ属の系統に納まる、との判断が出ている。その扱いはまだ確定していないようである。
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