完全情報からの探索
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/24 16:30 UTC 版)
ジョージ・J・スティグラーは商品売買における情報や職業の探索を重要な問題だと提唱し、ジョン・J・マッコールは最近の仕事に基づいたoptimal stopping理論をベースにして、動的な職業探索のモデルを提唱した。マッコールの論文では、選択肢が完全情報的で不変、また貨幣の価値が不変であるとき、職業提供者が失業者に対して仕事を提供するか否かについて研究がなされている。 彼は、労働者が受け入れるであろう最も低い賃金である、「留保賃金」という観点によって職業探索の決定理論を特徴づけた。労働者は、提供された賃金が留保賃金より安ければ拒絶し、高ければ受け入れるという行動をとる。 もしマッコールによって考えられた条件が満たされなければ、時間の経過とともに留保賃金は変わる可能性がある。例えば、失業者の技能が衰える一方でなかなか職業にありつけないという状況下では、失業の期間が長ければ長いほど、受け入れる職場環境の基準は下がる。こういった場合には、失業者の留保賃金は時間の経過とともに下がる。同様に、もし彼らがリスク回避的であれば、職業探索によって徐々に生活資金が減っていくため、留保賃金は下がる傾向にある。また、留保賃金は業種によっても変わる。つまり、職種の間には補償差分があるといえるだろう。 マッコールのモデルによって、賃金提示が多様であればあるほど探索する労働者は有利になり、探索を行う期間が長引くかもしれないという面白い見解が示された。これは賃金提示額が多様であればあるほど、探索者は高い賃金提示を受けるかもしれないという期待をするため、高い留保賃金を設定し、したがって長期間待つからだと考えられる。また、低い賃金の提示については、それを拒絶する権利が探索者側にあるため、リスクとしての影響力をもたず、リスク回避的な人でさえ職業探しの期間が長くなりうる。 マッコールは失業者の賃金決定に関して、理論の枠組みを作ったが、これと似たような考察が、安い価格の商品を求める消費理論にも応用されうる。この関係性からすると、消費者が商品に対して払いうる、最も高い価格のことを、「留保価格」を呼ぶことができるだろう。
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