大正期までの河口付近
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 09:24 UTC 版)
かつては東京湾の他の地域と同様、多摩川河口付近には遠浅の干潟様環境が広がっており、旅鳥または冬鳥としてシギ・チドリ類が多数訪れていた。 鳥類学者の黒田長禮は、1909 - 18年にかけて、付近の黒田家鴨場(現在の羽田空港ターミナルビル付近)、末廣島(現在の川崎区浮島町付近)、羽田町麹谷(現在の大田区東糀谷付近)にて観察を行い記録している。 文献によれば、下記で普通種として示した種は数百羽の群れで訪れることも少なくなかったことや、シロチドリやハマシギなどは冬鳥として多数飛来していたこと、当時はタゲリが 7月など夏場を除く長期間にわたり見られたなど、冬鳥の越冬地としても賑わっていた様子がうかがえる。 普通種・渡来数多 ダイゼン、シロチドリ、キョウジョシギ、ホウロクシギ、チュウシャクシギ、オオソリハシシギ、キアシシギ、トウネン、ハマシギ 普通種・渡来数少 イソシギ、アオアシシギ 少なめ メダイチドリ、ダイシャクシギ、オグロシギ、ツルシギ、オバシギ 稀 タゲリ、ムナグロ、アカアシシギ、クサシギ(冬鳥)、ソリハシシギ、ヘラシギ 迷鳥 オオメダイチドリ、ハシボソシロチドリ(学名を Ægialitis alexandrina alexandrina としている)、カラフトアオアシシギ、ミユビシギ、キリアイ 漂鳥 コチドリ この他、タシギやヤマシギについては河口付近ではなく、近隣の水田(大正期までの河口付近は稲作地帯であった)に多数が飛来したと記載されているが、本書が記された当時には既に減少しており、稀に見るのみになっていたとある。
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