大小両用便器(兼用便器)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 22:47 UTC 版)
和式大便器の一種で、一段(20〜30cmほど)高くした床に設置し、便器後部を段違い部に張り出させて男子の小用を兼ねる両用便器(兼用便器、段差式とも呼ばれる)が存在し、段違い部に張り出した部分は小便器のリップ部と同形状になっている。この大小両用和式便器(兼用便器)は、小便器の設置空間が取り難い日本の住宅環境もあり、一般住居でも広く採用されているほか、小規模な店舗やオフィスのトイレ、コンビニエンスストアのトイレ、ホテルや旅館等宿泊施設の各部屋にある客室のトイレにおいても同様に敷地面積の節約から和式の大小両用便器をひとつだけ供している場合も少なくない。これらの大小両用和式便器(兼用便器)は男性用トイレの他に男女共用トイレの便器としても多く使われる。宿泊施設などにおいては、客室部屋内の個別の男女共用トイレを敬遠する宿泊客の為に各フロアーに男女各々の性別専用のトイレが設置された宿泊施設も多い。大小両用和式便器(兼用便器)の洗浄装置は通常の和式便器と同様に店舗やオフィス、宿泊施設においては、多くが連続使用が可能で省スペースであるフラッシュバルブにより給水されるが、一般住居等のように25A以上の給水管径、給水圧力が0.07MPa以上が確保できず、フラッシュバルブが使用できない場合はボールタップによるタンクを設置して給水する。タンク式の主流を占めるロータンク式では、タンクの上部にはタンクの蓋の代わりに、手洗い器を兼ねている水盆を置き、タンクの給水の一部の水が手洗い部に出て来る仕組みであり、この場合トイレ内に個別に手洗い器を設けることを省略できるために、大小両用和式便器が設置される狭い空間のトイレで多く採用されている。 大小両用和式便器(兼用便器)においても平面床に埋め込んで施工される一般向けの和風便器(和式便器)同様に床上給水式と床下給水式があり、給水方式は施工面や配管の取り廻し、便器との相性の関係で、床上給水式は主にロータンク給水で、床下給水式の場合フラッシュバルブにより給水される。 洋式便器化が普及した近年では和式の大小両用便器に代わって通常の洋式大便器をひとつだけ設置して大小兼用便器として供していることが多くなっている。
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