多環式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 08:33 UTC 版)
大部分のセスキテルペンは多環式である。 約30種が知られているカリオフィラン誘導体の中でもっとも重要なものはカリオフィレンであり、キャラウェイ、コショウ、フトモモに含まれる。オイデスマン誘導体およびフラノオイデスマン誘導体はおよそ450種が知られている。セリネンはセロリやアサに、オイデスモールはユーカリに、コストールはコスタス属 (Costus) の植物の根に存在する。サントニンは駆虫剤として作用する。重要なフラノオイデスマン誘導体のひとつとしてツビポフランが知られる。150種ほどのエレモフィラン誘導体やバレラン誘導体は高等植物などにみられる。ノートカトンは11-エレモフィレン-2,9-ジオンとともにグレープフルーツの香り成分として知られる。カジナン誘導体は150種類程度がよく知られており、カジナジエンはホップ精油から、ムーロラジエンはテレビン油精製物から、カジネンはクベバやビャクシン属植物から、それぞれ得られる。アルテミシア酸は抗菌活性を持つ。グアジャンおよびシクログアジャン誘導体は400種が知られる。グアジャジエンはトルバルサムから発見された。アンブロシア酸のようなプソイドグアジャネン類はブタクサ属 (Ambrosia) の植物に存在する。ヒマカラン誘導体の多くはヒマラヤスギ属の植物の精油に含まれる。数種類のダウカン誘導体は野生種のニンジン (Daucus carota) に含まれることから、その名称の由来となった。マラスマン誘導体のイソベレラールは抗生物質としての作用を持ち、イソラクタラン誘導体であるメルリジアールはキノコの一種シワタケ (Merulius tremellosus, Phlebia tremellosa) の代謝物である。アコランおよび50種が知られるカミグラン誘導体はスピロ化合物であり、カミグラン類は藻類によって産生される。セドラン誘導体の一種のセドロールはヒマラヤスギの香気成分である。ヒルスタン誘導体はキノコの代謝物として存在し、ヒルスタム酸などが知られている。 ファルネシル二リン酸を前駆体としない多環式セスキテルペンも存在する。
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