国際慣習法による制限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/07 15:43 UTC 版)
詳細については主権免除の項を参照のこと 今日、国際慣習法として認められている裁判権の制限は、いわゆる主権免除(裁判権免除)のルールである。 主権免除とは、ある国の裁判所において他の国家が被告となった場合に、国際法上の主権平等の原則から、その国の裁判権から当該他の国家は免除される、ということである。主権免除については、次の二つの考え方がある。 絶対免除主義:他の国家が被告となる場合には必ず主権免除を認める、という考え方。 制限免除主義(相対免除主義):主権的行為には主権免除を認めるが、主権的行為以外の行為には主権免除を認めない、という考え方。 絶対免除主義から制限免除主義へ、というのが世界的な潮流であるといわれており、すでに1886年にはイタリアで、1903年にはベルギーで制限主義に立脚した判例が登場していた。その後、アメリカでは1976年に制限免除主義が立法化され、カナダやオーストラリアもこれに続いた。 日本では、絶対免除主義を採る大審院判例(大審院決定昭和3年12月28日民集7巻1128頁)が形式上は生きていると考えられてきた。しかし、最高裁判所平成18年7月21日判決、民集第60巻6号2542頁は、「外国国家は商取引や雇用契約など、私法的行為などについても民事裁判権から免除されるとの国際慣習法はもはや存在しない」として、国際慣習法が変更されたという理解を示し、「外国国家の主権を侵害するおそれがあるなど特段の事情がない限り、日本の民事裁判権は免除されない」として、制限免除主義の立場を明らかにした。
※この「国際慣習法による制限」の解説は、「裁判管轄」の解説の一部です。
「国際慣習法による制限」を含む「裁判管轄」の記事については、「裁判管轄」の概要を参照ください。
- 国際慣習法による制限のページへのリンク