取引の仕組み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 18:36 UTC 版)
取引においては、一定の決まった月までに、現物引渡し(先渡し契約を伴うもの)または反対売買(転売・買戻し)で決済することが約束されている商品を売買する。この決められた月を、「限月(げんげつ)」といい、取引の単位を「枚」という。たとえば金においては1kgが取引単位となっている(2007年2月現在)。現物を受け渡す最小単位も取引単位と同様に設定しているものが多いが、なかには2枚や5枚を単位とするものもある。 売買をするにあたっては取引所によって定められた一定額の証拠金を納めなければならない。この額は契約商品全体の額(「丸代金」という)の3%から10%くらいである。すなわち10倍から30倍のレバレッジがかかっているのがこの取引の特徴である。買いまたは売りをしたまま、未決済(現物引渡しや反対売買が行われていない状態)になっている契約を「建玉(たてぎょく)」という。建玉に発生する損益を「値洗い」といい、ポジション(口座にある建玉全体の状態)にたいして一定以上の値洗い損がでれば、追加の証拠金を納めなければならない。これを取引追証拠金(とりひきおいしょうこきん・おいしょう)という。証拠金が納付できない場合は、そこで強制決済となる。証拠金は、納会日(最終決済日)が近づいてきたときや相場が荒れたときにも、追加を要求される。前者を定時増証拠金(ていじまししょうこきん・ていじまし)、後者を臨時増証拠金(りんじまししょうこきん・りんまし)という。 同意書なしの委託証拠金充用証券の流用について「物」として旧商品取引所法第92条違反にならないとする最高裁判例が存在するが、受託契約準則において充用証券の処分制限まで否定する趣旨ではないとする行政解釈が存在する。 このようにして、商品が上がると思えば買い建玉をし、下がると思えば売り建玉をするのが、商品先物取引(商品相場)における典型的な投機的取引であるが(いわゆる片建取引)、このほかに、同一商品異市場の値段差が縮小するのを狙う取引(アービトラージ)や、類似商品の値段の差・比率に着目する取引(ストラドル)、限月間の値段差に着目する取引、順鞘(限月が近づくにつれ値段が下がっている状態)のときの鞘すべり取り(ローリング)、逆鞘(限月が近づくにつれ値段が上がっている状態)のときの鞘出世取り、順鞘のとき期近(決済の早い限月)を買い期先(決済の遅い限月)を売って、期近を現受け(現物を引き取ること)して期先に売りつなぐことで、差額を獲得する取引などがあり、これらを総称して鞘取りという(もともとは投機的取引で値段差を狙う全ての取引を鞘取りといった)。日本では困難であるが、これらにさらにオプション取引を絡ませて、いっそう複雑なポジションを構成することもできる。 なお、毎日の売買量を出来高(できだか・売りと買いが成立したものを1枚と数える)といい、ある時点での未決済の建玉の量を取組高(とりくみだか・売りと買いが取り組んだ状態を1枚と数える)という。これとは別に売買高という言葉を使用する場合があって、売りと買いでそれぞれ1枚と数え出来高を2倍に数えるのがそれだという。ただし日本経済新聞の商品市場の欄の説明では出来高のことを売買高といい、取組高のことをたんに建玉といい、帳入値段または帳入指数のことを清算値と称しているから注意を要する。 清算参加者が、取引所の定める受託契約準則に基づき委託者から差し入れを受けた取引証拠金を委託者の代理人となって委託分の取引証拠金(直接預託)として株式会社日本商品清算機構に預託した金銭等について、委託者は株式会社日本商品清算機構に対して返還請求する権利を有している。また、委託者が清算参加者に委託証拠金を預託し、清算参加者が当該委託証拠金に相当する額以上の金銭等を取引証拠金として株式会社日本商品清算機構に預託した場合、差換預託された取引証拠金について、委託者は株式会社日本商品清算機構に対して返還請求する権利を有している。通常時においては、委託者は清算参加者を代理人として返還請求権を行使することとなるが、決済不履行時(建玉処分が行われた場合に限る)においては、直接株式会社日本商品清算機構に対して証拠金の返還請求をすることになる。 損失限定取引(スマートCX) 損失限定取引契約 - 取引開始に先立ち、ロスカット水準価格等、損失限定取引に関する契約を商品先物取引業者と顧客の間で契約する。 ストップロス取引による売買 - 損失限定取引契約に基づいて、ロスカット注文が成立せず失効した場合はストップロス取引による売買が約定する。 ストップロス取引は受託取引参加者(商品先物取引業者)の自己の注文と、顧客の注文(転売又は買戻し)を、同一価格により、同一限月かつ同一数量について取引所に申し出て売買約定を成立させる。
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