最高裁判例とは? わかりやすく解説

判例

(最高裁判例 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/22 09:35 UTC 版)

判例(はんれい、英語: judicial precedents)は、裁判において具体的事件における裁判所が示した法律的判断。日本法においては特に最高裁判所が示した判断をいう。これに対し、下級審の判断は実務上「裁判例」と呼ばれ区別される[1]英米法においては裁判所の判断のうち「レイシオ・デシデンダイ」(ラテン語: ratio decidendi)として法的拘束力を有するものをいう。


注釈

  1. ^ 上告受理の申立ては「原判決に最高裁判所の判例と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件」について申立てがされる。
  2. ^ 高等裁判所の決定及び命令について「最高裁判所の判例と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合」について申立てがされ、高等裁判所がこれを許可したときにすることができる(民訴法337条第1項、第2項)。
  3. ^ 中野次雄 2002, p. 30によれば、「判例とその読み方(改訂版)」P.30によれば、「(判例集の)作成者としては、その裁判の「判例」だと自ら考えたものを要旨として書いたわけで、それはたしかに「判例」を発見するのに参考になり、よい手がかりにはなる。少なくとも、索引的価値があることは十分に認めなければならない。しかし、なにが「判例」かは・・大いに問題があるところで、作成者が判例だと思ったこととそれが真の判例だということとは別である。現に要旨の中には、どうみても傍論としかいえないものを掲げたものもあるし・・稀な過去の例ではあるが、裁判理由とくい違った要旨が示されたことすらないではない・・。判決・決定要旨として書かれたものをそのまま「判例」だと思うのはきわめて危険で、判例はあくまで裁判理由の中から読む人自身の頭で読み取られなければならない」のであるという[9]

出典

  1. ^ 畑佳秀 2019, p. 45.
  2. ^ London Street Tramways Co Ltd v London County Council [1898] AC 375”. e-lawsource.co.uk. 2021年12月8日閲覧。
  3. ^ 畑佳秀 2019, pp. 46–47.
  4. ^ 畑佳秀 2019, pp. 52–53.
  5. ^ 土屋文昭 2011, p. 220.
  6. ^ 畑佳秀 2019, pp. 45–46.
  7. ^ 村林隆一 2003, p. 81.
  8. ^ 今村隆 2009, p. 52, 脚注45.
  9. ^ 村林 2003, p. 81.
  10. ^ 土屋文昭 2011, p. 224, 脚注23.
  11. ^ a b 染谷, 雅幸、石川, 優佳、内記, 香子「海外の法令・判例情報(<特集>法令・判例情報)」2001年、doi:10.18919/jkg.51.3_156 


「判例」の続きの解説一覧

最高裁判例

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 14:06 UTC 版)

統治行為論」の記事における「最高裁判例」の解説

砂川事件上告審判決最高裁昭和34年12月16日大法廷判決) 「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」の合憲性判断について、統治行為論自由裁量論を組み合わせた変則的な理論展開して司法審査対象外とした。時の最高裁判所長官田中耕太郎初め用い、“日米同盟”の憲法適否問われる問題では、以後これが定着するうになる苫米地事件上告審判決最高裁昭和35年6月8日大法廷判決衆議院の解散合憲性判断について、純粋な統治行為論採用して司法審査対象外とした。統治行為論をほぼ純粋に認めた唯一の判例とされる事件名提訴した青森県選出衆議院議員苫米地義三にちなむ。 これ以降議員定数不均衡訴訟などにおいて、被告の国側は統治行為論主張するが、最高裁はそれを採用せず、裁量論で処理。 長沼ナイキ事件 第1審判決札幌地裁昭和48年9月7日判決)では一般論として統治行為論肯定した上で自衛隊問題については統治行為論適用否定し違憲判決下した第二審判決では札幌高等裁判所裁判長小河八十次)は1976年8月5日、「住民側の訴えの利益洪水の危険)は、防衛施設庁代替施設建設ダム)によって補填される」として、一審判決覆し原告請求棄却最高裁判所1982年9月9日原告適格観点において、原告住民訴えの利益なしとして住民の上告を棄却したが、二審言及自衛隊違憲審査回避 下級審判例 長沼事件控訴審判決札幌高裁昭和51年8月5日判決)&百里基地訴訟第1審判決水戸地裁昭和52年2月17日判決自衛隊合憲性判断について、砂川事件上告審判決同様の統治行為論により、司法審査対象外とした。

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最高裁判例

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 05:43 UTC 版)

日本国憲法第15条」の記事における「最高裁判例」の解説

労働委員会取消請求(最高裁判例 昭和24年4月20日無効取消当選確認及び町会議員選挙無効確認(最高裁判例 昭和25年11月9日選挙権のない者又はいわゆる代理投票をした者の投票についても、その投票何人に対してなされたかは、議員当選効力定め手続において取り調べてならない三井美唄労組事件(最高裁判例 昭和43年12月4日憲法25条憲法28公職選挙立候補する自由は、憲法第15条第1項保障する重要な基本的人権一つ解すべきである。 在日外国人地方参政権確認訴訟(最高裁判例 平成7年2月28日憲法93在外日本人選挙権訴訟(最高裁判例 平成17年9月14日一票の格差訴訟

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最高裁判例

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日本国憲法第25条」の記事における「最高裁判例」の解説

食糧管理法違反(最高裁判例 昭和23年12月1日憲法76条、憲法81朝日訴訟(最高裁判例 昭和42年5月24日三井美唄労組事件(最高裁判例 昭和43年12月4日憲法151項憲法28堀木訴訟(最高裁判例 昭和57年7月7日憲法13条憲法14条 塩見訴訟(最高裁判例 平成元年3月2日厚木基地公害訴訟(最高裁判例 平成5年2月25日朝日訴訟最高裁判所判決最判昭和42年5月24日民集第21巻5号1043頁)における判例では、日本国憲法第25条プログラム規定解釈しており、あくまでも国の努力目標宣言したに過ぎないとされる。従って、具体的な施策については裁量余地認められる[要出典]。

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最高裁判例

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才口千晴」の記事における「最高裁判例」の解説

祖父母による孫の連れ去り未成年者誘拐事件に関して、「本来、このような紛争家裁調停もしくは当事者間話し合いなどで解決を図るのが相当で、刑事司法介入する場合でも、未成年者福祉踏まえ将来解決方法考えながら、範囲・程度については慎重に検討すべき」として高裁実刑判決破棄執行猶予付の有罪判決自判した。 (平成17(あ)第2437号 未成年者誘拐被告事件 平成17年0126日 第一小法廷判決破棄自判酒気帯び運転一晩に2回検挙され熊本県中学校教員が、懲戒免職処分不服として熊本県教育委員会相手どり、処分取り消し求めた訴訟の上告審で、「酒気帯び運転常習性はなく、教諭としての評価極めて高かった」と認定し処分は重すぎるとした福岡高裁二審判決支持教育委員会の上告を棄却した。 (懲戒免職処分取消等(通称 町立中学校教諭懲戒免職事件平成19年7月12日 最高裁第一小法廷判決棄却原審平成18年(行コ)第16号松文館裁判 - 第一小法廷裁判長として、チャタレー事件最高裁判例を引用し上告棄却した(有罪判決確定)。

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