卵歯
卵歯(らんし) egg tooth
卵歯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 16:23 UTC 版)
殻のある卵を産む有羊膜類には、孵化の際に卵殻を物理的に破壊するために、吻端に孵化時のみ持ちその後脱落する突起状の硬組織がある。かつてはそのような器官を全て卵歯と呼んでいたが、有鱗目以外の全ての現生爬虫類と鳥類では歯ではなく角質の突起であるため、現在では卵角(卵嘴, caruncle)と呼ばれるようになった。しかし有鱗目では実際に歯であり、真の卵歯である。有鱗目の卵歯は前上顎骨に由来し、左右1対または中央に1つの原基から発生する。左右に原基を持つものは、ヤモリ類では両方とも発達して1対の卵歯をもつが、通常は左側歯は消失し、右の歯のみが発達する。 他の爬虫類が全て卵角を持つのに対し、有鱗目だけが卵歯を持つことは、前述の有鱗類胎生起源説を支持する証拠として持ち出されることがある。つまり、一旦胎生になってしまったときに卵殻を破るための卵角を失ってしまい、その後卵生に戻ったときには一度失った器官は再現できず、あらためて前上顎骨歯を卵歯として発達させたというのである。ただし、卵生哺乳類である単孔類には卵歯と卵角の両方が備わっているという報告があり、だとすれば原始的有羊膜類には元々卵歯と卵角の両方が備わっており、それぞれの系統でどちらかが失われただけで胎生化とは無関係だとする見方もできる。
※この「卵歯」の解説は、「有鱗目 (爬虫類)」の解説の一部です。
「卵歯」を含む「有鱗目 (爬虫類)」の記事については、「有鱗目 (爬虫類)」の概要を参照ください。
卵歯
- >> 「卵歯」を含む用語の索引
- 卵歯のページへのリンク