創作活動について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 14:32 UTC 版)
司馬遷の『史記』は「十二本紀・十表・八書・三十世家・七十列伝」の全百三十巻から成るが、頼山陽はこれを模倣して「三紀・五書・九議・十三世家・二十三策」の著述構想を立てている。『史記』にあっては真骨頂というべき「列伝」に該当するものがないが前記の十三世家にあたる『日本外史』(全二十二巻)が列伝体で叙せられ『史記』の「列伝」を兼ねたものと見ることもできる。 『日本外史』は武家の時代史であるが、簡明な叙述であり、情熱的な文章であった為に広く愛読されたが、参考史料として軍記物語なども用いているため、歴史的事実に忠実であるとは言いがたい記事も散見する。言い換えれば、史伝小説の源流の一つとも言い得る。ただし簡明であるがゆえに巷間で広く読まれ、幕末、明治維新から、昭和戦前期まで、広く影響を与えた。 詩吟、剣舞でも馴染み深い「鞭声粛粛夜河を過る」で始まる川中島の戦いを描いた漢詩『題不識庵撃機山図』の作者としても有名で、死後刊行された『山陽詩鈔』(全8巻)に収められている。古代から織豊時代までの歴史事件を歌謡風に詠じた『日本楽府』(全1巻)がある。同書の第一は下記引用の詩に始まるが、易姓革命による秦(贏氏、西楚の覇王に滅ぼされる)、漢(劉氏、新の摂皇帝に滅ぼされる)に代表される中華王朝の傾きに対比して、本朝の「皇統の一貫」に基づく国体の精華を強調している。 日の出づる処、日の没する処。両頭の天子、皆天署扶桑鶏号いて、朝已に盈つるも長安洛陽、天未だ曙けず。贏は顚れ劉は蹶きて日没を趁ひ、東海の一輪、旧に依りて出ず。 鞭聲(べんせい)粛々、夜(よる)河を過(わた)る。暁に見る、千兵の大牙を擁するを。遺恨十年、一剣を磨き、流星光底、長蛇(ちょうだ)を逸す。
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