避弾経始
傾斜装甲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 01:16 UTC 版)
弾着速度が比較的遅い砲弾が硬度の高い装甲に斜めに当れば、弾が装甲の面を滑って弾かれ(傾斜装甲)被害をほとんど受けずに済むことがある。また、弾が装甲内に突き進んだ場合でも、弾の経路に対して斜めの装甲板では弾がそれだけ長い距離を装甲内で進む必要があり、装甲厚が増したのと同じ効果が得られる。これらの考え方は、避弾経始(ひだんけいし)と呼ばれる。ただし、後者の利点は敵方向から見た暴露面積で比べれば装甲が斜めである分だけ暴露が小さい、つまりそれだけ防護面積が小さくなっており、結局、装甲厚が増す効果と面積の縮小は同じ割合であるため特段の防護効果はないとする考え方もある。また、低速の砲弾は鋼製の装甲への侵徹時に侵入角度が屈折する現象があり、その場合には進入経路は短くなる。 傾斜装甲(避弾経始)の考え方を、最初に本格的に取り入れて設計された戦車は、第二次世界大戦時にソ連が開発したT-34と言われる。この戦車の登場に衝撃を受けたドイツ軍が、これに対抗する為に開発を急いだのが、パンター中戦車である。 21世紀のAPFSDS弾は、その高速度のために傾斜装甲が意味を持つのはごく浅い角度の場合だけであるとされており、戦後第三世代以降の戦車では、これまでと逆に、傾斜装甲(避弾経始)の考え方が重要視されなくなっているケースも多い。
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